『コミュニケーション』は生きていく上で、必要不可欠なもの。
ところが、子どもは成長過程で、きちんと『教わる』ことはなく、周りの人間を見ることだけで、そこから独自の方法を身につけていきます。
このエリアに関して、それをロジカルに解き明かし、改善できる方法を発見し、提供されている、コミュニケーションデザイナーの鮎永麻琴さんにお話をうかがいました。

「学校で教えない教育こそ大切だと思っています。微分・積分とか勉強したじゃないですか?大学卒業してから、使ったことがありません。コミュニケーションの勉強とか、お金の勉強とか、毎日のこと、それはやっぱり必要なのかなと思うんです。『それが学べる所が無い。じゃあ作ろう』ってことで……」と、思い立ち、なんとたった一年で、ロジカルにまとめ上げたそうなのです。

子ども時代、おとなしいお子さんだったという鮎永さんは、厳しい親御さんや、学校の先生の顔色をうかがっていたそうです。
「人の顔色をうかがうのもアンテナだと思うんです。相手の表情とか目の動きとか目線とか、それを見るっていうのは子どものころに培われた、今となってはスキル、技術だったと思います」と、おっしゃいます。

この頃から、自然と周りを観察していたことが、今の鮎永さんを生み出す土台になったと言えるようです。
そして、辛い経験さえ、次のステップへと繋げていらっしゃいます。

「一番辛かったのが大学卒業してすぐ、航空会社に就職しまして、13年間、国際線の客室乗務員として勤めた時です。飛行機の中って、お客様は皆良い方なんですが、割と先輩たちが厳しくて……。何度か飛行機から飛び降りようかと……」と、当時を振り返る鮎永さん。

長時間のフライトからくる肉体的な苦痛以上に、精神的な苦痛の方が辛かったとおっしゃいます。
その精神的苦痛を紐解いていくことで、『コミュニケーション』がカギであることに気づかれるのです。

「多分皆さんがやってらっしゃる『コミュニケーション』が、ふわっと、なんとなく感覚でなさっていると思うんですが、そういう、ふわっと、やってみたけどできなかった人、っていうのが、その後どうなってるかというと、残念なんですが、コミュニケーションを控えるということをなさっているんです。それをやり続けるとか失敗してもそこから学んで『あれが悪かったから、これが悪かったから、こうしてみよう』というふうに変えられる人は素晴らしくて、それができずに『もう喋らない』とか、そういう方がすごく多いです。控えてほしくない、もっともっと表現してもらいたい、と思っています。そのためのロジックです」と、鮎永さん。

とはいえ、『ロジカルに』と言葉でいうのは簡単ですが、実際に論理的に整理するということは、とても大変な作業です。
それを、わずか一年でまとめ上げるということは、相当な実力がなければできないこと。

さらに、こんな風にもおっしゃいます。
「今はSNSの時代ですから、全員が発信者になれる時代です。それを控えて受信者に止まってる人が多い気がして、これからの若い子たちは全員が発信者になれる可能性があるので、自分の思ってることを正しく思っているように、ボリューム、高さ、厚さ、深さ、重さ、っていう物を伝えるスキルを持ったら良いのになと思います」

たしかに、通常の会話や文章であっても、言葉にしたことが、相手に正しく伝わらなくては意味がありません。
この、『正しく』伝えるという部分が、実に難しいことなのです。

そこで、具体的にどういうところに注意することが大切なのか、お話していただける範囲で教えていただきました。

まず、『コミュニケーション』にはふたつあって、ひとつは人との『コミュニケーション』、もうひとつは自分との『コミュニケーション』なのだそうです。
『自分なんて、言ったって駄目だろう』とか、『自分に良いことがあったら、こんな良いことがあったから、この後は運を使い切っちゃったから悪いことが起きるに違いない』というような、自分自身に対する否定的な考えなどで、自分と対話している部分を見ていくようです。

「自分との『コミュニケーション』をまず最初に扱わせていただいています。自分がどうなのか?それは地図で例えさせて頂くんですが、今はもうスマホでGoogleマップとかありますけども、昔は大きな遊園地とか、東京駅とか行きますと、案内図には『こっちが東口』、『こちら西口』など表示されています。でも、一番最初に見つけなきゃいけないのは『現在地』。世の中には自己啓発本とか、『右に行けば良い』とか『左に行けば良い』とか、書いてあると私は理解してるんですが、そうじゃなくて『あなたがどこにいるのか?』によって、右なのか左なのかが変わってくるんです。それをまず自分で確かめてもらうこと……」と、教えてくださいました。

おっしゃる通り、今いる位置がわからなければ、目的地にたどり着く可能性はとても低くなります。

「それと、統計学を使ってるんですが、コミュニケーション帝王学で、生年月日から自分の子の癖とか、コミュニケーションのフィルターみたいな。ピンクのメガネをかけると世の中ピンクに見えますし、ブルーの眼鏡をかければブルーに見えますし。これを外してもらう作業が必要になってきます」と、鮎永さん。

こちらもおっしゃる通り、バイアスがかかっているものを取り除かなくては、物事は正しく見えてきません。

「同じ言葉を聞いても、受け取り方って人それぞれなんです。そういう意味で、やっぱり自分の現在地を知って、自分との『コミュニケーション』をまず通すっていう。そしてその後、人との『コミュニケーション』ですね。他人との『コミュニケーション』は相互理解が一番大切な物だと思います。自分が相手のことをわかってあげるだけじゃなくて、自分のこともわかってもらう、この相互理解があって、初めて『コミュニケーション』って成り立つと思ってますし、ベースにあるのは人との信頼関係です。それがないと、『この人、良いこと言ってるけど、私のこと騙してんじゃないか?』とか、『この人のこと本当に信用して良いのかな?』っていう気持ちがあると、やっぱりストレートに入ってこないですから……。その相互理解と信頼関係を築く、このスキームっていうのはロジカルに、そして再現性の高い物ですから、一回覚えると誰でも出来るようになります」と、鮎永さんはおっしゃいます。

喧嘩があったり、人間関係のこじれは、『コミュニケーション』でしか解決できないものが多いのです。
その『コミュニケーション』が、学ぶことで身に付けられて一生物になるというのは素晴らしいこと。

「学校のカリキュラムに入れて欲しいです。最近知ったんですが、子供の自殺、実は日本がトップなんです。私は自殺の原因って、病気、お金、人間関係らしいですが、子供たちの自殺は、多分病気とかお金じゃないと思うんですね。だから、心が痛いです」と鮎永さん。

こうした問題も、『コミュニケーション』のスキルを誰もが持つことで、解決できる可能性が生まれてきます。
ぜひとも、多くの方のに知っていただき、身に付けていただきたいと思います。

詳しくは動画をご覧くださいませ。

鮎永さんのサイト
Ayu Style

鮎永さんの「コミュニケーションの学校」
コミュニケーション帝王学