日本人らしい考え方、生き方の一つに『武士道』というワードが浮かび上がりますが、同時に、その言葉には、硬いとか男性的なといったイメージも一緒についてきます。
そんな中、女性の視点で『武士道』を研究し、今の日本人に必要な多くのメッセージを発信されている石川真理子先生にお話をうかがうことができました。
祖父方が仙台藩士、祖母方が米沢藩士という武家の家系に生まれ、明治生まれのおばあ様から武家に伝わる薫陶を受けたという真理子先生。
独自に『武士道』や『武家の生活文化』を学び、現在は、作家として多くの著作を送り出し、セミナー、講演活動をなさっています。
その活動の一つが『FujiSun マリコアカデミィ』
こちらのオンライン講座では、『武士道』を礎に、歴史・伝統文化を学びながら私たちが本来持っている『幸せ上手なあり方』を目指しているそうです。
今の混乱している世の中で、自らの生き方に迷いを持っている方も多いはず。
そんな中、真理子先生の考え方は、とても大切な指針をくださるのではないかと感じます。
生い立ちから現在にいたるまで、稀有で貴重な人生を歩まれ、何気ないお話の中からも気づきが生まれるほどに、先生のお話には価値があります。
たわいないおしゃべりの中から、真理子先生の『武士道』に関するお話や、おばあ様から受け継いできた教えなどをリスナーの方に感じ取っていただけたらと考え、3週連続でお話をお届けします。
そもそも、このご縁はロッキー田中さんからいただいたご縁であり、真理子先生も、ロッキーさんの作品をお手元に置かれ、大切になさっているお一人。
作品が発するエネルギーを感じていらっしゃいます。
「全て波動だと思うんです。エネルギーだし、自分が何をチョイスしてその波動を受けることによって、自分の波動も共鳴して変化しますよね?だから良いものを選ぶって凄く大事ですね。『富士山の写真ならいっぱいあるよね?』ではダメだと思いますし、『ロッキーさんのときめきの富士を持っていれば運気が上がる』という、そこだけを目的に持つのとは、私は少し違うと思います。本当に心が震えた物に巡り会ったらそれをご入手頂いて、というのが理想です。どこに飾るか考えて、ここ!というのが必ずあります」と、おっしゃる真理子先生。
『自分で選び取っていく』これはキーワードだと思います。
人生を切り開いていく時に、選ぶ目と選び取る力はとても大切です。
真理子先生は、こんな風に続きをお話してくださいます。
「ずっと私は、自分で何を選ぶのか、自分自身の考えることを意識を持ってどうあるべきなのか、決めていくって言うのかな?それは子供の時から家庭のしつけで植え付けられていたんです。はっきりと自分の考えと言うものをちゃんと話さなければいけませんでした。幼稚園に入ったころ、例えば子どもですから、すごく些細なところから始まるんです。お客様がお見えになってお菓子をいただいたとします。それがケーキだったとします。いくつか種類がある。『あなたはどれがいい?』と聞かれます。私は一番小さいから最初に聞いてもらえたんです。よく皆さんおっしゃるのが『私はどれでもいいわよ』ってありがちです。でもそれを言ったら、『じゃぁ、あなたにはあげません』てなります。自分の『これ』という物も選べないようじゃだめだよ……」
幼稚園児への教育としてはなんと過酷な!
「二言はないです。一回ダメと言われたら、それきりなんです」と、真理子先生。
武家の娘である、おばあ様の教育は筋金入りです。
「他のご家庭は分かりませんから、皆、そうだと思っていたんです。中学一年のころ、遅ればせながら、ちょっと私変なのかな?と気づきました。それまでは無邪気にそのまま生きてました」と、少女のように笑いながらおっしゃいます。
「中学生ぐらいから、やはり『皆に合わせていかなくちゃいけないから』という思いもあったんです。普通の子のふりを一生懸命しました。普通に振る舞っているのに『変わり者』って言われ続けましたけれども……。やはりそうすると傷ついちゃう時もあるんです。打たれ弱い自分、傷つきやすい自分が嫌で、自分のことが嫌いになったんです。そういう状態で生きてるのはすごく辛い。自分の弱さと言うものを、私は祖母が武家の娘として本当にしゃんとして、そこから色々教えられていましたので、もう一度、祖母が武家の娘だったのなら、もしかしたら武士道が何かヒントになるかもしれないと思いまして、二十代半ばにもう一回私が受けた躾って何だったのか、武家の娘ってどういう生き方をしたのか、どうしたら祖母みたいに武家の女性のように強くなれるのか、知りたくて、武士道を独自に勉強し始めたのは二十代半ばなんです。生きていくために……。自分が小さいうちはそれが全てですから、それが武家の躾とは思っていなかったんです」と、お話してくださいましたが、武家の血筋と生活が家庭の中にあるということは、現代においては、ほぼ皆無です。
ともすると息苦しさを感じてしまうかもしれない環境の中で、自らさらに研究を始めるということは、心の強さがあったからではないでしょうか?
実際に真理子先生が学び始め、武士道の本を読んだときに驚かれたことは、「これ全部子どもの時に言われていたことじゃないか!」と、いうことなのだそうです。
家庭内の教育が、そのまま武家の教育。
生まれた時からの環境が、イコールであったということは、まさに驚きです。
「だから、初めて自分を発見したのがその時だったんですが、あまり喜びではありませんでした。ただ、私はこれがすごく美しいと素直に思いました。『私はこうやって生きていきたい』『私の人生はこういう風にしたい』。美意識そのものです」と、背筋がピンと伸び、美しい佇まいの先生がおっしゃると、重みが違います。
余分なものをそぎ落としたシンプルな美しさ。
座っていらっしゃる凛としたお姿から、それを感じます。
こうした、今の時代では触れることができない貴重なお話を来週、再来週と3週にわたってうかがっていきます。
詳しくは動画をご覧くださいませ。
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