スタジオの中に、突然ドーンと置かれたキーボードで、弾き語りからスタート!
現代音楽の作曲家イーガルさんです。
途中まで歌ってくださった『篠原』という曲が、多くの方の心を虜にしているのです。
この曲が好きすぎる方たちで『篠原合唱部』ができてしまったほど。
そんなイーガルさんに、色々なお話をお聞きしてみました。
実は、この曲、イーガルさんが、東京から静岡に向かう新幹線の中で、柔道の篠原選手に出会ってしまったという曲なのです。
どうやら、このお話をうかがうと、とても長い物語になってしまうとのことなので、今回は残念ながら割愛します。
しかし、日常の中で起きた一コマの出来事をモチーフにして、どうしたらこんなにも楽しい曲が出来るのか?
この曲のオチを知っていても、何度聴いても爆笑してしまうのです。
「現代音楽の作曲家と言いながらも、『オチがある』というのはどういうことだろう?という感じですね」と、笑うイーガルさん。
彼のライブでは、「これでもか」というくらい、みなさん笑い転げるのがお決まり。
ところが、メインでなさっているのは、舞台や、映画の音楽を作曲するお仕事なのです。
「そうですね。舞台が多いかもです、一番。「今から分野を創っていくぞ」という所で呼ばれることがすごく多くて。例えば、現在、サーカス。歌ったり、いわゆる普通の人形劇ではない新しい人形劇。また、3ヶ月から14ヶ月の赤ちゃんから子ども向けのベビーシアターというのがあります。『赤ちゃんだけの為の演劇』です」と、イーガルさん。
そして、今の御時世で自粛しなければいけないことが増えていますが、逆に仕事が増えているのだそうです。
それは、ステージに立てない表現者たちが色々な映像作品を製作して、YouTubeをはじめとする動画サイトで配信しているため。
なぜなら、BGMに使用する曲に著作権がかかってしまうため、使えない曲が多くなってしまうからなのです。
「パフォーマーですから。大道芸は、BGMがなければしらけてしまいます。そういうオファーが多いです。多分、去年は生涯で一番曲を作った1年なのではないかと思います。200曲ぐらい作りました」とのこと。
一日1曲に近いペースで作曲!
まさに、引っ張りだこの人気です。
こんなペースで作曲するというのは、天からメロディーが降ってくるのかと思いきや……
「そんな事はありません。必死で考えます。『う~ん』と思いながら考えます。言葉があれば曲になるんです。詞があるものであれば、すぐできるんです。インストゥルメンタル(楽器のみで演奏された楽曲)の曲を作る時は、一回言葉で考えて架空の歌詞を作って……。イメージでもいいんですが、言葉が最初にないと曲が作りづらいんです。アメリカの作曲家でアーロン・コープランドという人がいて、彼が言うには、作曲家が1番聞かれる質問は、『どうやって曲ができてくるか?』という事と、『作曲をするときにピアノ使うんですか?』という二大の質問だそうですが、「わからない」が正解なんです。降ってきているのか、やってるうちにできたのか、曲が作り終わってしまうと忘れてしまうんです。曲が完成した、出来上がった、と思うと、自分の手から離れる気がして、作り終えた瞬間に『この曲どうやって作ったっけ?』」と、イーガルさんはおっしゃいます。
思いのほか、苦労して作曲されているご様子です。
ところが、歌っていただいた『篠原』に続くような、楽しくてユニークなイーガルさんの曲は、例外なのだそうで、こちらは降ってくるとのこと。
しかも、シャワー中に突然降ってくるのだとか……
さてさて、多くの方に実際にお聴きいただきたいイーガルさんの曲の数々。
舞台に合わせてメロディアスだったり、クラシック調であったり、みごとなほどに曲の種類が違います。
同じ方が生み出した曲とは思えないほどに、幅広く素敵な曲を作っていらっしゃるのです。
イーガルさん曰く、
「去年12月に舞台が4作品ありまして、一つミュージカル、一つ現代音楽、一つアクロバットとかしながら、ピアノ弾いたりと、結構ジャンルが違うものを同時に作ることが多いです」
なんという才能でしょう!!
また、イーガルさんが手掛ける作品の中でも、『大道芸』は、外せません。
今や、独自の発展を遂げている『大道芸』は、技術的にも大いなる進化を遂げていて、一昔前のイメージでいると置いてけぼりを食うことになりかねません。
「大道芸というものは人が集まるし、商店街、町興しの一環として土日だけのフェスティバルでも、色々な人が来てお金を使うんです。起爆剤になるくらい多くの人がやってきます。ものすごく技術のある人、いろんなものの世界チャンピオンばかりいるので、そういうところで、大道芸をなさっている方とのご縁が始まっていくんです」と、イーガルさんはおっしゃいます。
どうやら、そうしたご縁からオファーをいただくことになるようです。
実は、イーガルさんは、即興も得意な方なので、その場で必要なメロディーをすぐに演奏してくださるのです。
「そうですね、『私がいれば何とかなる』と思っていただいたりというのもあります」と、おっしゃるイーガルさんですが、本当に、その場その場にあった曲を、すぐに音に変換できる才能というのは、とても特殊な能力であり、実際に目の前で演奏していただくと心が奪われます。
今の時期、ライブを開催できないので、直接聴いていただけないことが残念で仕方ありませんが、一刻も早くこの状況に良い変化が起こり、イーガルさんのライブ演奏が聴ける日がやってくることを楽しみにしたいと思います。
詳しくは、動画をご覧くださいませ。
イーガルさんの公式サイトはこちら
→イーガル 現代音楽とその他の仕事