昔ながらの商店街に次々とシャッターが降りていく昨今。
そんな寂しい現状の中、とても元気のよい商店街があるんです。
どんな工夫をされていらっしゃるのか、佐倉城下町商店会会長の石渡敦子さんにお話をうかがいました。
「かつてはこの200メートルくらいの全てが軒並み商店だったのです。今では閉店されてシャッターが閉まっているところもあります。確かに同じ千葉の佐倉商店街の中でも、うまくいってない所はありました。それでも、ここ佐倉城下町商店街がしっかりと生き延びている理由は、個々の商店で生業を営んでいらっしゃる方々が、商店の商品を愛し、一生懸命売っているからです。『商店会』という『会』があって、そこでみんなが持ちつ持たれつ、この商店街の通りに人が来てくださるように年間を通じてたくさんの催しをしているからでしょう」と、石渡さん。
お話をうかがうと、なんと!月替わりで魅力的なイベントを開催されているんです。
1月は、七福神めぐり。
佐倉市はお寺さん・神社さんが多く、七福神が祀られています。そこをめぐって頂くという催しがあるのです。
2月は、雛めぐり。
商店街の店先に飾られているお雛様を見ていただきながら無料のお茶とお菓子のサービスなど、町ぐるみのイベントです。
佐倉城下町ひなめぐりの画像/『ニッポン旅マガジン』より
3月末まで続く『城下町きもの散歩』は、前の年の11月から、商店の中の旧古民家を利用して着物に着替えて街を巡っていただくというイベント。
この季節はなんといっても桜。
城址公園のたくさんの桜や、歴史の民俗博物館の中に夜桜を見物するイベントもあります。
4月は、佐倉はフラワーフェスタでチューリップが咲きます。
佐倉市はオランダと交流していて、チューリップ広場には風車があります。
5月になると、牡丹。
市民の方・有志の方々がここ数年で作られた牡丹園で、今では城址公園で牡丹が満開に!
6月には菖蒲が咲き始め、菖蒲祭りが開かれます。
菖蒲と紫陽花を見ていただきながら、この季節はバラも咲きます。
8月にはひまわり、9月にはコスモスと、こんな風に、フラワーフェスタはずっと続くのです。
『佐倉フラワーフェスタ』という名称は有名ですが、そのフェスタの期間は、実に長期間。
年間を通してお花に恵まれた土地柄で、花が消えることなく入れ替わり立ち替わり、楽しめるのだそうです。
さらに、フェスタに重なるように花火大会が行われたり、お花が終わってしまっても200年以上も続いているという秋祭りがあったりと、盛りだくさん。
こんな風に町全体が見所満載なのです。
旧佐倉町の中心になっているのが、この商店会の通り。
そして、この通りモニュメント的存在としての美術館が素敵なのです。
美術館の画像/『行ってみよう!たのしい街』より
大正時代に建てられた旧川崎銀行の建物です。
大正ロマンの美しい建物は、フォトジェニック。
ぜひとも立ち寄り、写真を撮っていただきたい建物です。
11月に行われる時代祭りも魅力的。
商店会が江戸の町になるのだそうです。
昔の江戸の街を再現したお祭りで、飛脚が走りまわったり、当時を再現した『油売り』『ゆで卵売り』などたくさんの行商人が闊歩しているので、それらを見つけるだけも楽しめる催しなのです。
石渡さんの発想と企画で、一昨年前から面白い催しも加わりました。
その名も『タイムトラベルすとりーと』
「この佐倉城下町通りは、京成佐倉駅のところから坂をのぼってくる地形です。そこで、『坂を登る』のと『時代を遡る』をかけて、タイムトラベルになぞらえたのです。平成・昭和・大正・明治……そうやって遡ってくると、ここは江戸だったというわけです。その時代時代に合わせた顔出しパネルが出されます」と、石渡さん。
ちなみに昨年は、菅官房長官が「令和」と言う看板を持った顔出しパネルだったそうです。
デパートやショッピングモールがどんどん立ち並ぶことが都市化、活性化というのだとしたら、佐倉市は、都市化しませんでした。
近代化に伴うビルディングの乱立ということにはならなかったので、自然は豊かなまま。
でも、本当の意味で『活性化』とは何なのかと考えてみると、住んでいる方が生き生きと楽しく暮らせる街であること、これが一番大事なのですから、そういう意味ではしっかりと活性化されているといえるでしょう。
本当に見どころがたくさんあって、訪れたいイベントが目白押しの商店会。
途中下車して、坂道を登ってぜひいらしてみていただきたいです。
詳しくは、動画をごらんくださいませ。
■ 月替わりで魅力的なイベントを開催されている佐倉城下町商店会