虹色に輝く『ホログラムシート』を使った美しい作品『ホログラムコラージュ』のパイオニア、日比野貴之さん。
幻想的かつ、独創的な作品を誕生させることとなったきっかけや、今後の展望についてお聞きしました。

『ホログラムシート』で描かれた作品なので、ちょっと角度が変わるだけで、目に映る色が変わるのです。
そのため、歩くたびに虹色の光や色が変わって、絵の印象もドンドンと変化していきます。

日比野さんによりますと、『ホログラムシート』のカットの形や大きさ、貼り方、シート自体の柄にも様々な種類があるそうです。
そして、その元々の柄を活かしてカットすることで、作品を一層引き立てていくことになります。

柄は150種類位あり、シートの上に使用している箔の種類も200種類位あるのだそうです。
これらを作品のイメージに合わせて選び、それぞれのパーツの大きさに細かく切ってピンセットで貼り付けていくという気の遠くなるような作業。

実物を見ていただくとわかるのですが、本当に細かいパーツが組み合わさって出来上がっていて、平面の作品でも立体感が生まれています。

日比野さんがこの『ホログラムコラージュ』の道に進まれたのは、今から25年近く前。
今ではシートの選び方、カットの仕方で、これから手掛ける作品にまさにドンピシャな柄を選ぶことができるのだとか。
その柄も、「ここではこれを使おう。その絵にはあれを使おう」というように全て頭に入っているのだそうです。

以前は、普通のペインティングやエアブラシなどを使った作品を手掛けていらっしゃったそうですが、ある時、赤い龍を描いてみたところ、「龍を描くのはこの材質じゃないな」と思われたそうです。
「絵の具ではない」と思ったら、なんと絵が描けなくなってしまったというのです。

それでも日比野さんは、「普通の人には見えなくても龍は存在する」と思っていましたので、『龍』にふさわしい画材を探そうと思われました。
しかし、なかなか納得できるものは見つからず、1ヵ月ぐらいノイローゼのようになって過ごされたそうです。

そんなある時、日比野さんの夢の中に金と銀の二匹の大きな龍が出てきました。
それが日比野さんの前を行ったり来たりして、挨拶をしたというのです。
龍の色は、金と銀だったのですが、だんだんと虹色に変化して輝いていきました。
それを見たときに「あー!これだ!」と飛び起きて、その日から虹色を表現できる素材を探し始めたのです。

そして、とうとう運命の出会いがやってきます。
名古屋の東急ハンズの素材売り場にエスカレーターで上って行ったとき、遠目にキラキラと光ったものが日比野さんの目に飛び込んできました。
そこに行ってみたら、それがホログラムシート。
たくさんの種類があったのだそうです。

もちろん、実際には売り場が光っていたわけではないのですが、『ホログラムシート』が日比野さんを引き寄せるように導いたのでしょう。
その瞬間、まるで雷が頭の中に落ちたように「間違いない!」と確信したとのです。

25年前のその日、東急ハンズに行かれたことは、まさに天の采配。
それがなければ、これら素晴らしい作品が世に出ることもなかったかもしれません。
日比野さんご自身も、当時はホログラムで生きていけるとは思っていなかったとおっしゃいます。

ところで、とても素敵な『ホログラムコラージュ』のアート作品。
他にも真似する方がいてもおかしくないのですが、現状はまだいらっしゃいません。
日比野さんお一人だけで、他にはできる人がいないからです。

逆に、このような素敵なアートを日比野さん一代で終わらせてしまうのはもったいないともいえます。
そこで間もなくスクールを始める計画があるそうです。
「私は手先が不器用だから」などと心配する必要はなく、キットなども作っておられるそうですからどんな方でもできるようです。

もちろん、趣味を超えて、実際にアートの領域にまで踏み込んだ作品の場合のご指導も日比野さんがしてくださるそうです。
さらに、今後は、指導できる方の育成も計画中なのだそうです。

暗くなっている世の中に、ぜひホログラムの虹色の光を届けたいものです。
ホログラムは光が当たらなければ色が出ないのですが、光が当たった時には、他のものでは表現できない特別な魅力がある奥深く新しいアートの世界を構築しています。

「ご自分のスタイルで、龍以外の題材でオリジナリティーのあるものを作って進化していってほしい」と、日比野さんはおっしゃいます。
日比野さんは技法だけを教えられ、あとはご本人のインスピレーションで独自の作品を作っていくことを望んでおられます。

沢山のホログラムワールドが広がって、コロナをふきとばせるような、良い光を世の中に届けていただきたいと思います。

詳しくは、動画をご覧くださいませ。

■ 『ホログラムコラージュ』のパイオニア、日比野貴之さんのサイト

→日比野貴之さんのサイトはこちら