誰もが子どものころに歌った『童謡』
この『童謡』がメンタルセラピーにおいて効果があることを発見し、それを活用されている『童謡メンタルセラピー』の創設者の山西敏博先生にくわしく教えていただきました。

山西先生は、大学教授でもあり、国際音楽メンタルセラピスト協会の会長でもいらっしゃいます。
そんな先生が、とても力を注いでいらっしゃるものが『童謡メンタルセラピー』
名前の通り『童謡を活用した心理療法』なのです。

「歌詞のメッセージは作詞者が作った思いです。それを講師が解釈して受講者に届け、受講者にいろんな形でお話をして、癒しと元気を届けるというものです。童謡というくらいなので、小さなお子様が理解できる歌詞です。そこに作詞家の想いが詰まっています。それを解釈し皆様に解きほぐす形でお伝えするのです」と、山西先生。

たしかに、『童謡』は子どものころ、お母さんと共に沢山歌いましたから、童謡には色々な想いや思い出と繋がっている方も大勢いらっしゃるはずですし、歌詞も分かりやすく、メロディーも覚えやすいので、多くの方に受け入れられる『歌』ですが、メンタルセラピーに活用できる方法とは、具体的にどんなことなのでしょうか?

誰もが知っている『もみじ』という『童謡』を一例に取って教えていただきました。

一番の歌詞:秋の夕日に照る山紅葉(やまもみじ)
二番の歌詞:渓(たに)の流(ながれ)に散り浮く紅葉
と、ありますが、二番の歌詞は、緑の葉っぱが、赤や黄色になって落ち、渓の流れについていくという意味ですが、これは死を意味するそうです。

『童謡メンタルセラピー』では、参加者の方に男女ペアの二人組になっていただき、「『もみじ』の歌詞を人間に例えると、若い方が老いていき、いずれ晩年を迎える時に一花咲かせたとしたら、どんなことでしょう?」と尋ね、お互いに話していただきます。
そうすると、それぞれに色々な考えが飛び出し、コミュニケーションが活発になるのだそうです(実際には、もう少しいくつかのステップがあります)。
言葉に出すことでそれが言霊となり、語られたことについて「実際にやってみようか?」ということに発展することに……

その後に、終わった後にお互いの目を見つめて握手します。
握手という形ですが、相手の体を触れることになります。
異性と握手をするということで、ドキドキする感じを味わうと、脳を活性化するホルモンのオキシトシンが分泌されるので、軽度の認知症の予防・緩和に繋がる効果が期待できます。

次々と相手を変えることによって、まるで合コンのように盛り上がり、別の異性と次々と話ができるようになり、なかなか止まらなくなるのだそうです。
女性も男性も、いくつになっても異性が目の前にいる時は、カッコつけたりするものです。

介護施設を利用されている年配者の方も、男性と女性を見ていればやはり異性は違うものだとわかります。
死ぬまで女性は女性ですし、昔はお姉さんだった方ばかりです。
男性も然りです。

『童謡』が、こんな形で、効果を発揮するとは驚きです。

この『童謡メンタルセラピー』の本もあります。


「童謡」で絶対元気になれる!
心揺さぶる「童謡メンタルセラピー」とは?

先生は、おっしゃいます。
「小さい時に歌った歌が回想療法として、また気持ちが生きていくんじゃないでしょうか?これは子育てに奮闘しているお母さんたちにも、ストレスを感じているサラリーマンの方々、昔のお兄さんやお姉さんにも老若男女すべてに使えます。『童謡』は分かりやすくて歌いやすいメロディーです。幼稚園でも小学校でも歌った歌です。音楽は国境を超えます。歌詞の訳が変わっても同じメロディーで歌える歌がたくさんありますから、これは国際音楽メンタルセラピーとしても活用できるのです」

そして、今現在、先生はこの活動を中心に、北は北海道から南は熊本、最近は四国の愛媛でも活動されています。
企業の経営者の方々向けの会や、認知症の介護施設へも訪問されていらっしゃいます。

でも、スタートは被災者支援だったそうです。
なんと4年連続、先生の住まわれた場所で立て続けに災害が起きたのです。

2016年の熊本・大分地震、半年後の鳥取中部地震。
その後の大阪北部地震、西日本豪雨。
さらに、北海道の胆振東部地震(いぶりとうぶじしん)では、先生のご自宅が被災されました。
更に昨年の長野県の台風19号、またも先生は被災者になりました。

そんな時、「そうだ!『童謡』で元気になるんだ。自分の励ましにもなる」と、思い出され、ある清涼飲料の会社に電話をして、支援物資をお願いするという支援ボランティアをやったら、その会社は1億円の支援に加えミネラルウォーターの『森の天然水』も配ってくださったそうです。
『童謡』という一つのキーワードが、みんなを明るく元気にしたいという想いに繋がり、こんなミラクルが起こすのでしょう。

自分が子どものころ、お母さんに歌ってもらった子守唄、または幼稚園・小学校で得た『童謡』。年を重ねた今、童心に返り、『童謡』という形で心理療法を交えて、被災者支援であったり高齢者介護であったり、老若男女全てに使えるような形として蘇るというのは素敵なことです。
ぜひ、どんどんと活躍していってほしいものです。

詳しくは、動画をご確認くださいませ。