独特の音色と旋律でスタートした今回のインタビュー。
音の正体は、『三線(さんしん)』、琉球王国発祥の楽器です。

そして、楽しそうに演奏してくださったのは、笑顔が素敵な三線奏者のタケシィさん。

生の演奏も、楽器自体も間近で見る機会は少ない楽器なので、演奏される方は沖縄の方かと思いきや、タケシィさんご自身は、沖縄出身ではないとのこと。

「沖縄の楽器ではあるんですが、私の生まれ育ちは神奈川県です。今は東京に住んでいますし、沖縄とは縁もゆかりも無かったんですが、18、19年前に沖縄ブームがありました。今年も『ちむどんどん(NHKの朝ドラ)』が人気ですし、当時は『ちゅらさん』が終わった位のタイミングだったんです。沖縄に興味がなかったこともあって全然観てなかったんですが、たまたま夜中に再放送があって、「なんだろうこのドラマは?あ、これ、『ちゅらさん』だ」と思って観ていたら、すごく面白くて。しかも劇中で堺正章さんが三線を弾いたりとかあって、そこでちょっと興味を持つようになったんです。」とおっしゃるタケシィさん。

堺正章さんが演奏する三線が、三線との最初の遭遇という、ダイレクトに『沖縄』ではないあたりが、三線との面白い出会い方です。
さらにタケシィさんは続けます。
「その後に沖縄の歌がヒットするタイミングがありました。「涙そうそう」を歌っている夏川りみさんの声が素敵だなと……。たまたま当時住んでいた東京のある都市で夏川さんのコンサートがあったのですが、売れ始めだったので、チケットもそんなに売れていなかったみたいで、当日入れたんです。途中で夏川さんと沖縄の方とが三線を持って出てきて、マイクのある場所を素通りして一番前まで来て「ここから沖縄の民謡コーナーやります」といって、大ホールにも関わらず、生音・生声で沖縄民謡を演奏してくださったんです。それにものすごく感動して、「これをやりたい」と思いました。」

その当時のタケシィさんは、普通のサラリーマン。
大学時代にクラシックギターを弾いていたという経験はあるものの、音楽は聴く側専門だった彼が、導かれるように『三線』に出会い、練習を始めることになるのです。
しかも、職場のそばの楽器店で『三線教室』があったというのも、運命的なめぐり合わせ。

「三線を始めたころは、ほんとに趣味として、息抜きとしてやりだした位で、まさか自分が人前で演奏するなんてことは考えていませんでした。」というタケシィさんなのですが、そこから『三線』のプロへの道を歩きはじめることに。

ギターの経験もあって上達は早かったそうですが、ネックは『歌』
『三線』は『歌』とセットが基本とのことで、カラオケに行っても歌わないという、歌うことが苦手なタケシィさんにとって、このポイントがプロへの道を阻んだようですが……。

「最初に習いに行った時も、弾くことをメインと考えて行ったら、「これを歌いなさい」と言われて。いきなり民謡の楽譜を渡されて、「さぁ弾きながら歌うね」と言われ、ツッコミどころ満載すぎて……。全然想定してたのと違って、最初ちょっと違うかなと思いつつ始めて、しかも歌いながらできるようになってきたら、楽しくてしょうがなくなってきて……。」と、結局、『三線』をバックに沖縄民謡の弾き語りをするタケシィさんが出来上がったのです。

「沖縄民謡は方言で歌われるので、聴いても意味がわからないと思います。でも全くヒアリングがわからなくても、文字で起こすと、文字見ると結構わかるんですよ。しかも難しい話になっちゃいますが、今の日本語の原型って、結構沖縄にそのまま残ってるんですよ。古い大和言葉、平安の言葉がそのまま残っていて、それが文献になって残っていたりするんです。そういうのを知ってくると、奥が深いなぁ面白いなぁと引き込まれて行っちゃうんですね。」と、うれしそうに語るタケシィさんは、やはり『三線』に出会うべくして出会った方なのだと感じます。

さらに、「まず、沖縄の歌を沖縄で歌うって、めちゃくちゃビビるんです。例えば、シャンソンをフランスで歌うのと同じ感覚です。でも、すごいウェルカムなんですよ。「沖縄の歌を内地の人が歌ってくれるなんてありがとう」って、そういう感覚なんです。そうじゃない方もいらっしゃるかもしれませんが、大体そんな感じです。」とおっしゃいます。

しかし、音楽で食べ行くことは、簡単なことではない中で、プロとして活動を始めて14年。
本当に、素晴らしいことです。

普段は、沖縄料理屋さんを始めとする飲食店やカフェ・バーでライブをすることが多いというタケシィさん。
「夏場ですと沖縄系のイベント・お祭りがあるじゃないですか?そこのステージに参加させていただいたり……。」とのことですが、12月8日木曜日の夜7時から、このコーナーでもご紹介した、成城学園にある音楽ホール『サローネ・フォンタナ』で演奏されるそうです。

『サローネ・フォンタナ』は、こじんまりしたホールですが、天井高が高く音の響きがとても素敵なホールなので、『三線』の音色も格別なものになりそうです。

「基本、私の独演会です。プラス、いつも一緒にやってくれている琉球舞踊の女性の方とコラボでやるコンサートがあります。居心地が良くていつまでもいたくなる、終わった後もいつまでも皆さん残って歓談したり、毎回じゃないかもしれないけれど、オーナーさんがお茶を用意してくださったり、いろいろ歓談できる素敵な場所です。」とタケシィさん。

音楽を聴いておしまいではなく、初めて出会った人同士が仲良くなって繋がっていくことができる特別な場所。
そこにタケシィさんの人柄が加わるので、12月8日は新たな出会いがたくさん誕生しそうです。

詳しくは、ぜひ動画をご覧くださいませ。

今後の【2022年11月のライヴ予定】ライブの詳しい情報は、タケシィさんのFacebook
https://www.facebook.com/takeshi.sato.167
【11月のライヴ予定】の中に書かれています。

タケシィさんのホームページのこちらから
https://takec.net/