ロッキーさんが今回選ばれた作品のタイトルはなんと、『降臨』
なかなか、このタイトルにふさわしい作品はないと思うのですが、実際に作品を拝見すれば、納得できます。
さて、どのようなシチュエーションで、この作品が誕生したのか、ロッキーさんからしっかりとうかがいました。

「夏は結構写真の撮りにくい時期です。赤富士は想像できますよね?前回、赤富士やりましたよね?あと、富士山の頭に雪がないでしょう?」と、ロッキーさんのお話をうかがうと、確かに頂上に雪のない『富士山』は、やっぱり少し富士山らしくありません。

特に、今のご時世です。
もっとも、ロッキーさんのお考えは、もっと外出した方がよいと思っていらっしゃるそうですが、今年の夏は、『富士山』に会いにはいかなかったとのこと。
普段の夏場は、『赤富士』を撮影したり、星がきれいな時期なので、『天の川』を撮りに行ったりと動かれるそうなのですが、今年は、東京にずっといらした夏だったそうです。
とはいえ、長年撮り続けているため、表に出していないお宝作品が眠っているそうで、ネタ切れすることはないとおっしゃいます。

そして、満を持して登場した作品が、この『降臨』

全くタイトルに負けていません!!

「上から光が降りてきたと言う感じです。これ、このシーンがいきなり出るわけではなくて、その前のシーンも、当然観たいでしょう?これはね、山梨県と静岡県の県境に、山梨県側には安倍峠、身延山のそばにあるんです。静岡県側には山伏峠、二つとも似た高度ですけれども、静岡の山伏峠、通常『やんぶし』と言っていますが、そこは夏でも夜明けの温度が零下です。そのかわり、劇的なシーンが出やすいということで、わずか50分で山にゆっくり登っていけるゆるやかな山ですから、沢山の人が色んな写真を撮るんですが、その日、私も前の晩から待機して、その日の朝に出た写真がこちらでございます」と、ロッキーさん。

「これ『原始黎明』と言いまして、夏、こっちから(富士山の左側から)太陽が出てだんだん上がっていくんですが、これは夜明けの瞬間ですよね?こういう写真を見ると、『太古の昔、縄文時代、みんな富士山と日の出を拝んでいたんだな』ということが脈々とわかりますよね?それで、ありがたいことに、ベテランとか富士山好きな方とか、色んな情報があるんですが、この瞬間が終わると99%帰るんです。朝やけだけ狙って……。私はこれもとっても大好きで大事な時間ですけれども、そこから先がとても好きで、劇的なことが起こる可能性があるんです。そして太陽が1時間後に頂点に来るんです。地球が自転してますから。その頂点に来たときに光がブワーンと降りたんですよ!!」と、秘密を明かしてくださるロッキーさん。

その劇的な瞬間を捉えることができた作品が、この『降臨』

富士山の美しいシルエットが、ブルーに染まり、そこから上に太陽の光が雲に包まれた状態で輝いていて、その光の雲の中から『富士山』めがけて、少し小ぶりな光の雲が降りてきているように見えます。
その上、雲の周りにちょっと虹色のグラデーションがかかっていて神秘的なのです。

「これがとてもありがたく、この薄雲の効果でこの色が出たんです。もちろん私しかおりませんし、こういうのをイメージするのも私しかいませんから、みんな夜が明けてしばらくしたらこうなっちゃうなぁと思って帰るんです。私は『富士山』と太陽がものすごく仲良しだと思ってますから……。そしてこの日は、『よう来た』とばかりに出てくれまして、ブワッと出た時に、この光が虹色に広がって、放射状に広がって、ドンと富士山めがけて降りてきたようで……」と、うれしそうに語ってくださいます。

また、薄い雲に虹色がかかっているので、色々なものに見えることもあり、見える方から「ここに顔があるよ」「ここにもいるよ」と、ご覧になられたファンの方が教えてくださるそうです。
ある方からは、「100の神様がここの光の前で喜んで踊っているよ」と、伝えてくださったとのこと。

「だから祝福だし、僕はこの『降臨』が出たことによって、これに感ずる人、それが、『今まで続けてきたことが実を結んだり、色んなことに煩わされずに堂々と前に進んでいけば光が待っているよ』と。そういうふうに富士山が言ってくれたような気がしてしょうがないんです」と、ロッキーさん。

本当に、一枚一枚のエピソードがびっくりするような内容であり、それぞれの作品から飛び出してくるメッセージがとても素敵で、ロッキーさんの作品は、特別なものであることがわかります。

「自分の仕事としては劇的な一瞬に立つことが使命だと思っています。その確率が非常に高いのがありがたいと思ってます。僕は凡人ですけど、どうやら葛飾北斎さんが後ろから応援してくれたような気がします」と、おっしゃるロッキーさん。

まさに、見えない何かの応援を感じます。

誰もが、素晴らしい瞬間を写真に残したいと思います。
でも、奇跡の瞬間に出会うこと自体が難しい上に、そのわずかなシャッターチャンスを逃さずに作品として残すことは、実に困難です。
それなのに、ロッキーさんの作品では、その奇跡が目白押しなのですから、ロッキーさんが選ばれた方であるのは、間違いないのです。

ロッキーさんは、おっしゃいます。
「8月というのは、なかなか赤富士なんか一回では写真が撮りにくいんです。私は基本的には山岳写真家では無いから、山にはのぼれないけれども、中位の山だったらいけるんですね。なるべく高い所にいて夜明けを迎える。夜明けの1時間後の景色を楽しみにしているということになりますと、イメージが膨らんできて、起きる結果もどんどん広がってくるんです。それを皆さんにお勧めしたいなと思っています」

他の方は、皆さん夜明けで満足してお帰りになってしまうということなので、実にもったいないわけです。
もう少し、景色をゆっくり味わうとよさそうです。

「あと、この日は不思議で、このシーンとさっきの夜明けのシーンと、これとこの前後にまた不思議なシーンが二つ生まれておりまして、それをいつかまたご案内いたします」と、ロッキーさんからのメッセージ。

この後の二つの作品をご紹介できる日を楽しみにしたいと思います。

詳しくは、動画をご確認くださいませ。


■ ロッキー田中 ときめきの富士 公式ホームページ
● 皆が見たことのない、なんとも言えない素敵な富士山の写真が、ここにあります。

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現代の北斎 ロッキー田中の『ときめきの富士』一覧