『パステルカラー』という言葉は、色の種類として日本人の生活にも定着していますが、実際に『パステル』という画材を手にしたことがある方は、きっと少ないはず。
この『パステル』を使った『パステルシャインアート』という技法について、発案者である江村信一先生にお話をお聞きしました。
見ているだけで心が癒される、優しい色使いのこのアートでは、『パステル』という画材の特徴が思い切り発揮されています。
しかも、どなたにでも描けるミラクルなアートなのです。
「『全然絵心がなくてごめんなさい』と言っている人が、この絵にはまるんです。まず自分の描いた絵に驚いて、自分が大好きになって人を好きになるという、良い循環が起こるんです。自分を嫌いになると、人のことを嫌いになりますから。自責すると他責するという。自分を好きになると平和になるんです」と、江村先生。
なんだか、素敵な言葉が次々と飛び出します。
先生のご指導の下で、数人でワークを行う際、全く同じ題材・同じ画材を使って同時に描いていくのですが、完成する作品は、初心者のモノでも、本当に素敵な作品になります。
しかも、それぞれに微妙な違いがあり、みごとなほどに個性が表れるという点も素晴らしく、お互いの作品を「〇〇さんの色、とても素敵」「ここの描き方、すごく上手」とか、褒めたくなるポイントが、満載なのです。
江村先生は、おっしゃいます。
「お互いに自然に褒めあうから、そこがとても良いムードになります。企業でもコミュニケーション力がつくということで、これを取り入れている企業があります。企業内の堅いセクションも『パステルシャインアート』を取り入れることで柔らかくなって、コミュニケーションが豊かになるのです。例えば30人ぐらいの会社でも社長から部長から社員全員が描いて壁に貼ると、『普段はおっかない社長がこんなかわいい絵を描くなんて』というふうに、コミュニケーションが良くなるんです。垣根がなくなるんです」
江村先生が発案したこの『パステルシャインアート』は、25年前に誕生したそうです。
『パステル』は、ハード、ソフト、オイルなど、何種類かのアイテムがある、歴史の古い画材です。
また、誰でもが知っている歴史的に有名な画家の有名な作品に使われている画材でもあるので、一見敷居が高めです。
「もともと『パステル』は、ハードもソフトもチョークのように持って描いて指で伸ばしたりするものなのですが、これを粉にしていくというのが新しさです。粉にするので、誰でもきれいなグラデーションができるのです。グラデーションを色鉛筆や水彩で描くと大変難しいんですが、パステルで描くと天才かと思うようなきれいなグラデーションができるんです。これが特徴です」と、江村先生。
『パステルシャインアート』では、金魚すくいのポイ(金魚をすくう道具)のような形の金網にパステルを擦り付けて削って粉にして、その粉になったものを、お化粧などで使うカット綿で伸ばしていくのです。
「2歳から3歳の子どもはみんな天才なんです。子どものころに描いてた無邪気な何かを大人になると忘れてしまうんです。すごい天才的なところは誰でも持っているんです。展覧会でも子どもの絵はなんだかすごい評価がつけられます。ところが、大人になるとなぜか忘れてしまうんです。人になんて言われるかしら?と思って止まってしまう方は多いものです。学校の先生に何か言われたりしてできた、そんなトラウマを持ってしまってやめてしまうんですよ」と、先生はおっしゃいます。
小学校・中学校の図工や美術の時間には、クラスメイトと並んで、絵を描きますが、評価がそこにはあるために、苦手意識が生まれやすい環境です。
一旦、苦手だと思ったり、自分は下手だと思ったりしたら、人前で絵を描くことから遠ざかってしまうのは、当然のこと。
ところが、この『パステルシャインアート』は大発明だと思います。
これは眠っている能力、才能を引き出したり、思い出したりする大きなきっかけになり得るのです。
そして、これをきっかけにいろんなことに自信をつけていく足掛かりにも活用できます。
今の世の中、自己否定される方が多く、そこがひとつの原因となり、人とのコミュニケーションがうまくいかなくなり、仕事の失敗へと発展するケースは少なくありません。
しかし、この負のループを、『自分を自分で褒められるようになる』ということから逆回転させるのです。
「よくこの『パステルシャインアート』を体験された人が、『自信がついた』『運命が変わった』と、はっきり言う方がたくさんいらっしゃるので、これはすごいことだと思います。一人でも多くの方に体験していただきたいです。眠っていた才能が表に出てきて、絵だけではなく、いろいろなこと、例えば音楽だったり、いろいろなことで良いことが出てくる可能性があると思います」と、先生はおっしゃいます。
江村先生は、キティちゃんで有名なサンリオという会社で、キャラクターデザインを担当されていた時代があったとのこと。
その仕事や、イラストの仕事の上では、『パステル』を使う機会があり、粉にして描くドライ・ウォッシュという技法も使われていたそうです。
しかし、その『パステル』を粉にしていくという技法が、この『パステルシャインアート』の形に転換したきっかけは、江村先生が1995年に企画された『天使展』
1995年というのは、サリン事件や阪神・淡路大震災が立て続けに起こった、闇の時代です。
そこに光が必要だと思った先生が、『天使展』を思いつき、赤坂のギャラリーに提案したところ、企画意図に共感してくださり「ギャラリー代はいらないからやりましょう」と言っていただけたのです。
そこで、絵本画家で著名な葉祥明先生をはじめとする色々な画家の方に声をかけて、展示会を開催する運びとなるのです。
「私は光の絵を描きたいと。天使=光であると、水彩や色鉛筆、アクリル絵の具などいろんな画材を集めてきて。最初、パステルでは考えていなかったんですが、やはり光という表現が出てこなかったので、パステルで描こうと思って描いてみたら、それがすごく素敵な光になったんです」とおっしゃる江村先生。
まさに、この時天使が舞い降りたのでしょう。
『パステルシャインアート』という新しいアート手法の誕生とともに、多くの方の未来に光をもたらす可能性までが誕生したのです。
詳しくは、動画をご覧くださいませ。
パステルシャインアートを描いてみたいという方はこちら→(社)日本パステルシャインアート協会
江村先生の書籍①→一瞬で絵心の扉を開くパステルシャインアート
江村先生の書籍②→10分で描けるセラピーアート入門