『令和』という元号になって、この5月で丸2年。
すっかり馴染んできた元号ですが、ロッキーさんの作品の中に、この『令和』という名称にピッタリな作品があるのです。
実に見事で美しい一枚が誕生した経緯を、ロッキーさんに教えていただきました。

「もっと早くご紹介したかったんですが、実はこの『令和』の時代に切り替わったのは、一昨年ですね?その時にこれが放送できればよかったんですが……。今年の5月1日に近い日を選んで、今回を選びました」と、ロッキーさん。

なんと、この作品のタイトルは『麗和の光』という素敵な名前がついています。

ロッキーさんは、続けておっしゃいます。
「『れいわ』という響きがずっと引っかかっていまして、その時ひらめいたんです。7年前に撮った写真がある。それは、まだ発表していなくて寝かしてあったもの。なぜ寝かしてあったかというと、タイトルが決まらなかったんです。それで『令和』の響きを聞いた時に、よし、今こそ、この『麗和』という名前で発表しよう、ということでタイトルをつけました」

響きは元号の『令和』と同じですが、漢字は違います。
作品のタイトルとしては、この『麗しい』という文字の方が断然ふさわしいといことは、作品を拝見すれば、一目瞭然。
構図といい、色合いといい、パーフェクトと言いたいほどに、まさに麗しい作品です。

「このシーンが出たのは、たくさん撮ったうちの1枚だけなんです。朝の7時にこの頂点を太陽が通りました。7時12分にここまで来ました。頂点の段階で撮り始めたんですが、何せ相手は太陽ですから、ファインダーを覗いてピントを合わせるわけにはいきません。目がやられます。だいたいの感覚と焦点を決めておいて、後は地球の自転に応じて太陽が動いてるわけですから……、刻々と3秒毎、5秒毎にカチンカチンと合わせていくわけです」と、撮影時のご苦労をお話してくださるロッキーさん。

作品の真ん中にある綺麗な太陽を取り囲むように、きれいに幾重にも光の輪がありますが、色合いが『グリーン』
しかも、『ライムグリーン』というような、黄色味がかった絶妙な色の光の輪が広がっているのです。

7年もの歳月、眠りについていた作品が、新しい時代の象徴ともいうべき新元号の登場に合わせて、同じ響きのタイトルとともに世に送り出されるということには、大きな意味があるように思えます。
実際にロッキーさんご自身も、この写真が撮れた時、「何を意味しているんだろうな?」と思われたそうです。

『令和』という元号の元になっているという古典は、『万葉集』
その巻五にある『梅の花の歌三十二首の序文』がこちら。
「初春(しょしゅん)の令(よ)き月、気(き)淑(よ)く風(かぜ)和(なご)み、梅は鏡の前の粉(こ)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮(はい)の後の香(こう)を薫(かお)らす」
そして、意味は「時は初春の良い月で、空気は良く、風は和み、梅は鏡の前のおしろいのように白く花ひらき、蘭は飾り袋の香りのように匂っている」という内容だそうです。

とても、美しい春らしさ季節を感じる一文です。

この出典の文章から、ロッキーさんは、こんな風に思われたのです。
「つまり、『凛として美しく進んでいきなさい』という意味かなと思ったんです。それともう一つは、いろんな人がいます。いろんな環境の中にいますけれども、みんな自分の夢に向かって、あるいは、今を超えようと思って頑張ってらっしゃるんです。それが、『くじけずに続けていったら、光が待っているよ』という意味合いを感じまして……」

『万葉集』の一文から、このような想いにいたるのも、ロッキーさんのお人柄を感じさせます。

さらに、ロッキーさんは続けてこんなことを教えてくださいました。
「これは春の朝、静岡県の東部(富士宮市猪之頭峠)の山の中から撮ったんです。その日は4日後が、頂上に太陽が乗る日だったんです。それはありきたりだなと思って、それを過ぎた、富士山とのバランスが一番良い位置に来た時、最高の調和になるんじゃないかと思って……。この一枚だけできまして、そして『麗和の光』というタイトルで発表したら、非常に沢山の人からお喜びの声をいただいて、写真家として励みになっています」

多くの方がこぞって撮る『ダイヤモンド富士』といわれる、富士山の頂上に太陽が乗っている構図には、興味があまりないとおっしゃるロッキーさんのこの作品は、まさに、『調和』という言葉がぴったり。
最高のバランスで、全てが収まっています。
見る人の心に響き、震わせ、何かが動きます。

「『ときめき』という言葉をつけたのは、いつもそういう意味合いがありまして、『人々の心に共鳴することができれば、ときめきである』と。本当に富士山はアップで克明にグワーンと撮って、『さぁ!富士山だ!』というのは私の世界ではないです」と、おっしゃるロッキーさん。

とはいえ、光の色をこんな素敵な色合いで引き出せるというのは、やっぱり神様からギフトをロッキーさんがいただいているからではないでしょうか?

「必死に気象条件とか、季節の移り変わりとか、時間帯とか、場所とか、イメージして、そしてできるだけ空振りを少なく、確率は高くいくような動きをしていきましたら、ある時、こういう場面に会うことができるわけです。光の中に、目で見えるよりも、潜んでいる光が山ほどあるっていうことですね」と、ロッキーさんはおっしゃいますが、肉眼でもなかなか見ることができない瞬間を、それを写真という形で焼きつけることができるというのは特別な技だと思います。

ちなみに、この『麗和の光』という作品は第98作とされています。
『ときめきの富士』は99作と、決めて発表されていますので、あと1作かと思いきや、実は、一から順番にできているわけではなく、まだ空いている番号があるのだそうです。
しかも、これぞという作品が誕生すると、入れ替わりもあるとのことなので、納得の99作品がそろうまでには、まだ時間が必要なようです。

ロッキーさんの作品は、大きな作品だったら大きなエネルギー、小さな作品だとしても、きっと一枚あるだけでお部屋のエネルギーが変わると思います。
特にこの、『麗和の光』の存在感は格別です。
色々な所で色々な事が組み合わさって、ほんとに奇跡的に出来上がった作品。
皆さま、ぜひ実物をご覧になってみてください。

詳しくは動画をご覧くださいませ。

■ ロッキー田中 ときめきの富士 公式ホームページ
● 皆が見たことのない、なんとも言えない素敵な富士山の写真が、ここにあります。

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現代の北斎 ロッキー田中の『ときめきの富士』一覧