近年、猫ファンが急増し、犬派を凌駕する勢いですが、それに伴い猫をモチーフにしたグッズもいたるところで目にします。
そんな中、群を抜いて素敵な、猫のジュエリーを作っていらっしゃるジュエリー作家の大江フミトさんにお話をうかがいました。
もともと、ジュエリーを作られているアーティストさんだからできる作品の数々は、一般的な猫グッズとは一線を画すクオリティなのです。
なんといっても秀逸なデザインのこのネックレスは、二つのパーツが組み合わさることで猫のシルエットを描いている作品。
素材はシルバーで、ロジウムメッキという、銀が変色して黒くならない表面処理をしているそうです。
とても繊細なフォルムが二つ合わさって猫の形をつくっているので、初めて見る方には美しい曲線にしか見えないかもしれないシンプルなデザイン。
大人の女性が、アクセサリーとして身に着けても何の違和感もない仕上がりであることに驚きます。
大江さんご自身が胸に付けていらっしゃるアクセサリーも、直径6~7cmくらいの円形に、3匹の猫が追い掛けっこしているようなシルエットの作品。
これもまたすごくシンプルで素敵で、男性がしていても違和感がないというところが、またいいのです。
もともとジュエリーの職人だった大江さん。
なんといっても、ベースが宝飾品。
猫の要素を取り入れて、何か素敵なものを作りたいと思って作り始めたのは、10年位前からだそうです。
「ひょんな事から猫のイベントに誘われて、もともと好きだったんですが、猫のモチーフで作り始めました。一番最初に手がけた作品は、小指にするピンキーリングです」と、大江さん。
左側の指輪の画像をよく見ると、一番下に小さな肉球が付いているんです。
猫の耳と肉球が付いているので、真横から見ると、座っている猫のシルエットという仕上がりで、肉球の存在は、身に着けている本人にしかわからないという、さりげなさがとても良いのです。
同じように、身に着けている本人がうれしくなるデザインは、右側画像のピアスも同様です。
なんと、ジュエリーの石を、猫のヒゲが爪のようになって留めているんです。
耳までくっついていて、とてもかわいいデザインですが、ここまでのディテールになっているのは、大江さんと持ち主の方のみが知りうる、小さな秘密。
しかも、木のお魚の形をした台座もついているので、ピアスが家に帰った時の定位置があるので、小さなピアスが行方不明になることもなさそうです。
こんな風に、最初から素敵なデザインの作品を作られている大江さんですが、
「結構、スケッチといいますか、合間合間にいろいろデザインを考えているうちに思いつくんです。ちょっとしたところからひらめくような感じです。猫そのものというよりは、猫モチーフにしてオリジナルの形を作りたかったのです」とのことで、やはり、アーティストとして、天からのギフトを受け取られているお一人のようです。
また、この日お持ちいただいたボードにも登場しているジュエリーも素敵です。
絵の要素が凄く強い作品に感じます。
画像右側の作品ですが、三日月が出ている夜の風景を窓越しに見ている黒猫。
風景は、外国、例えばギリシャのような感じもしますが、お聞きしたらなんと、富山湾越しの立山連峰とのこと。
画像左側の作品は、お持ちいただいた作品の中でも、本当に高価な作品で、シルバーと18金とダイヤモンドで作られた、まさにジュエリー。
猫が咥えている、ピラルクという巨大魚のうろこ部分には、たくさんのダイヤモンドが埋め込まれています。
繊細な細工を施した、まさに宝飾品の域。
こうしたお値打ちなものが作れる方だからこそ、シンプルな作品にも落とし込めるのだと思います。
何にしても、一つ一つの作品は、物語性があるような感じで仕上がっています。
「もともと猫じゃないものも作ってたんですが、形プラスアルファでストーリーもできたらいいなと……」と、ご自身もおっしゃるように、ストーリー性とかバックボーンとか、そういったものを作品に閉じ込めていく、ジュエリー作家さんの中でも異色な取り組みをされています。
「これからも、身につけた方が美しくなれるようなものを作っていきたいと思っています」、とおっしゃる大江さんの作品の実物をご覧いただけるチャンスが間もなくやってきます。
『福を呼ぶ猫展』
西武池袋本店7階で、12月23日から1月5日まで開催され、大江さんは12月30日からの出展です。
大江さんは年間で10回以上、月1回のペースで、あちこちに出展されているそうです。
下記、大江さんのホームページから出店スケジュールをご確認くださいませ。
大江さんのホームページはこちら→『文様舎ジュエリーワークス』