現代の住宅事情では、床材はフローリングが主流で、新築マンションにカーペットが使われるケースは激減しています。
確かに、掃除や手入れを考えると、フローリングは便利でおしゃれに感じます。
しかし、カーペットではなく、『絨毯』と書き換えると、イメージが少し変わり、『ペルシャ絨毯』という言葉が連想されます。
そして、『ペルシャ絨毯』は、フローリングの上でも、畳の上でも、その部屋をグレードアップすることができる魔法の『絨毯』といえる特別なアイテムなのです。

そんな『ペルシャ絨毯』を、北千住のご自宅で取り扱っている、阿部真利子さんにお話をうかがいました。

画像に移っているものは、ウール素材の最高峰といわれている『ペルシャ絨毯』で、一般的な絨毯のイメージとは思えない、しなやかさを持っています。

阿部さんが扱っている『ペルシャ絨毯』は、我々が普段目にすることができる有名百貨店で取り扱っているものよりも数段ランクが上の品物です。

「デパートで扱うということになると、デパートの利益や儲けがなくてはいけないので、こちらでご紹介しているような絨毯ですと、そういうものを全部乗せてしまうと数千万クラスになります。そうすると、やはり買える方が限られてきます。そういうこともあって、なかなかデパートとかで実際目にしていただくチャンスは少ないと思います。」と、阿部さんはおっしゃいます。

やはり、価格的には高嶺の花。
ただ、素材によっても価格は異なります。

「日本人の方で『ペルシャ絨毯』という概念をお持ちの方には、シルクとかを想像される方が多いです。ただ実際、絨毯をよく知っている方は、ウールの良さもわかっていただけると思うんですが、高価なものとして絨毯をお考えになっている方は、シルクの方が、より親しみやすさを持っている方は多いです。」と阿部さん。

なんと、高価なものを求めて、シルク素材を選択される方もいらっしゃるとのこと。
価値観は人それぞれです。
とはいえ、阿部さんが扱っているシルク素材の『ペルシャ絨毯』は、簡単にドレープが寄せられるほどの柔らかさで、それこそ『絨毯』とは思えないほどで、ほとんど『布』といった感じです。

さらに、ぜひとも見ていただきたいものが、裏側。
表側の美しさは当然なのですが、裏側も見せたくなるほどの美しさを持っているのです。

阿部さんがおっしゃるには、「本当に良いものに関しては、裏を見ていただいた時に、裏も遜色ないほど美しいものが、間違いなく良いものです。」とのこと。

また、当然サイズによっても価格は変わります。
大きければ、その面積によって高価になるのは当然ですが、画面に映っているような一畳サイズの小さいものは、イランにはないのだそうです。

「比較的これは小さいサイズです。イランにはないんですが、日本でいう、人間国宝みたいな作家さんの作品になります。小さいんですけれど、迫力があります。価格も、100万円以下のものもございます。それでも、デパートなんかで目にしていただいているものより、はるかにクオリティーが高い物をご提供できるようにはしています。」と阿部さんはおっしゃいます。

北千住のこちらのお宅で絨毯を扱うようになって30年以上、その前も含めるともっと長い歴史があるとのこと。
一般に家の中での展示販売という形式は、難しいように思えるのですが……。

「デパートとか行ってご覧になっている方はわかると思うんですが、絨毯をいっぱい乗せてるという状態で見ていると、自分の家に敷いて「こういう雰囲気になる」っていう想像をしにくいと思うんです。その場合は、実際に日本家屋の中の自分の、そこまですごいゴージャスな家ではない中でも、家具と合わせて置いてある状態の中で、ご自分の家に敷いた時に「こういう感じなんだな」ということを想像していただけるという意味ではいいのかなと思います。」と、阿部さんは教えてくださいました。

確かに、こちらですと、敷いてある状態でもすでに何点かあって、フローリングの上に置いてあるものと絨毯の上に重ね置きしているパターンと、両方ご覧いただけます。
過去の購入者の中には、畳敷きの和室に敷かれている方もいらっしゃるとか。

せっかくなので、購入する場合のポイントを教えていただきました。
「基本的には皆さんシルクを考えられている方が多いと思うんですが、欧米では基本的には土足で使われる生活の中で絨毯が根付いているので、そういうことを基準で考えると、ウールの方が家具を載せる、とか、例えば今の住宅事情だとペットを飼われる方、そういう条件を踏まえた上で使いやすいのは、ウールの方が使いやすいと思います。18年間いた私の猫ちゃんが先日他界しましたが、家に来た時からずっとペルシャ絨毯では爪とぎをしなかったです。でも一切傷つく事なく、その絨毯が今もまだ敷いてあります。もちろん程度とか、それによっては絶対にとは言えませんが、うちで扱ってるウール物に関しては、ほぼ大丈夫と思っていただいていいと思います。」とのことです。

しかも汚れた場合、水を通して洗うことができるのだそうです。

「ウールの物とかは洗えます。もちろん専門の業者さんにお任せするんです。洗っていただくと、本来は、うちで扱っているものは天然の草木とか鉱物とか、そういうものを使った彩色になっているので、お水を通すことによって色鮮やかになる色と、落ち着く色と、またそれが年を経て行くことによって、変化を楽しんでいただくことができます。」と、教えてくださいました。

実際のものをご覧いただくと、光の当たり方で色の見え方が変化して、見事なほどに美しい色合いを見せてくれます。
そしてもう一つ、びっくりするほどに密に作られていて、二つ折りにしたとしても、全く毛が割れしないのです。
一般的に出回っている低価格のものであると、こうはいかず、パックリ割れてしまいます。

「これは最高峰クラスになってくるので、密度がすごく細かいタイプになるんですが、これは2人がかりで3年。肩幅で1人サイズ位で編むんです。横の長さを大体見ていただいて人の肩幅位で割っていただくと、何人で横に並んでやっているかっていうのがわかっていただけるかと思います。」と、気が遠くなるような作業の結果、完成するのだそうです。

ぜひとも、最高ランクの品々を直接ご覧いただきたいのですが、「常時開いているショップではないので、絨毯をご紹介するという時の期間とか、そういうものはまたお知らせして、その期間に来ていただくこともできますし、ご興味があればお声掛けいただければ、その時に合わせることも出来ます。」とのことなので、ご興味のある方は繋がっていただければと思います。

ぜひ、動画もご覧くださいませ。