絵心がない方でも、わずか10分ほどで、素敵なパステル画が描けるとは、にわかに信じがたいのですが、それを可能にしてしまうのが『パステルシャインアート』のパイオニア、江村信一先生です。
前回に引き続き、色々なお話をうかがうことができました。
15センチ×15センチの正方形の小さなフレームの中に、レインボーカラーのかわいい葉っぱと、ブルー系のグラデーションで描かれた背景の、素敵なパステル画が収まっているのですが、この絵は江村先生が5分ほどで描いた作品。
こうした絵が、初心者の方でも教わりながら、順番に紙の上に色を乗せていくだけで、どなたでも10分もあれば描けるのです。
準備の時間を入れても、15分あれば完成してしまうほど簡単。
しかし、完成した作品はとても素敵で、素人の作品には見えないような仕上がりになってしまうのです。
絵が下手だというコンプレックスを持っている方でも、大丈夫。
「簡単に5分から10分で描けて、短時間で結果が出るという喜びが、今の時代の価値観にマッチしています」と、江村先生。
確かに、10分だったらハードルが低いので、どなたでもトライしてみようという気持ちになると思います。
そして、『10分で描けるセラピーアート入門』というこちらの本。
『10分で描けるセラピーアート入門』
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本の中には画材の紹介、描き方の紹介があるので、こちらの本に沿って画材の準備をしていけば、ご自宅でもチャレンジできます。
また、表題の『セラピーアート』という言葉の通り、『脳を活性化させる力』が、このアートにはあるのです。
「杏林大学の先生が、パステルを描く前と描いた後の脳波を測定されたのですが、やはり描いた後の脳の状態が非常に血流が動いて、脳が活性化されるというエビデンスが出ました」と、すごい事実を江村先生が教えてくださいました。
本の中にも脳が活性化している血流量の違いというのが写真で載っています。
まさにこれは一目瞭然で、作品を描いた後の脳は、活性化を示す赤い色に変化しています。
どうやら、仮にイライラしていても、5分ほど絵を描けば、脳波がα波状態に変化して気持ちがスッと落ち着いてくるようなのです。
パステルの色味というのは暖かく、柔らかい色彩ですし、「自分は描けない」と思っていた自分の手から、アートとしてどんどん出来上がってくるワクワク感、完成したときの喜び、これらが脳波に影響するのでしょう。
トータルで見た時、パステルという画材で描く『パステルシャインアート』は、とても手軽であり価値があるものだということが分かります。
こんな画法を考え付いた江村先生が、過去にどんなお仕事をなさっていたのかというと、テキスタイルデザイン(布製品における生地や柄)だとかグラフィックデザインという畑で活躍されていたそうです。
そして、キティちゃんで有名なサンリオという会社で、キャラクターデザイナーとして勤務されていたこともあるとのこと。
しかもサンリオには、先生が25歳の時に、ご自身で売り込みにいらしたということで、びっくりです。
「社長に会いたいと思って、社長室の近くの秘書センターで『社長にお会いできますか?』と交渉したんですが、社長がお忙しくて会えなくて……。普通アポイントなしでは無理ですが、アポイントなしで行きました。その秘書の方が『1時間待てば製作の課長が空くので時間は取れます』と。そこで1時間待って、その課長さんに会いに行きました。アポなしで、大阪人独特のあつかましさでお会いして、絵を見ていただき、その場でデザイナー社員としてお誘いを受けました」と、先生。
なんとも、破天荒なアポなしの突撃!
しかも、社員としてその場で採用。
大阪にデザイン事務所を持っていらした先生は、帰ってからいろいろ相談し、賛否両論の中で、上京を決められたとのこと。
「その当時はキティーちゃんが誕生して、売れに売れていましたから、何十倍何百倍の競争率だったらしいです。私の場合は中途ですから、いきなり飛び込みで行って『厚かましい人が来た』『大阪からどないすんねん?』と。そこからですから。逆に画期的ですよね?」と、お茶目な先生。
サンリオファンなら、誰でも知っている『いちご新聞』にも、先生のキャラクターはよく登場していたそうです。
その後独立してからは、三井石油のキャラクター、『気になる野菜』のパッケージ、レンジ食品等々、多くのキャラクターも生み出しています。
さらに、29年前にLIONが販売している猫のトイレ砂『ニオイをとる砂』のキャラクターも手掛けられました。
猫を飼っているお宅なら、よくご存じのこのキャラクターは、先生が生みの親だったのです。
すでに29年も継続して使われているのですから、完璧に『ニオイをとる砂』シリーズの顔となっています。
「一過性のキャラクターもいっぱいありますが、こういう普遍的なキャラクターを作るには、やはりコツがあります。いちど見て思い出せるキャラクター、忘れられないキャラクター、ぱっと見て『あ!見たことある!』、それがキャラクターになるんです。それが無いと一過性で終わります」と、おっしゃる江村先生。
この猫ちゃんは、お鼻をつまんで「すごい臭いぞ!」という所が可愛いだけじゃなくて、ちょっと癖があって、それが記憶に残るわけです。
特に、時代的にこういう癖のあるものが受けるそうで、29年前にこのキャラクターを採用されたLIONさんには、先見の明があったようです。
他にも、江村先生は、本の表紙や、挿絵なども多く描かれています。
PHP研究所から出されている『大切なこと』というタイトルの本は、なんと松下幸之助さんの文章に絵を当てられているかわいい本。
この中の挿絵も全て先生の作品です。
コンビニで販売するということで、松下幸之助の考えを若い人にも知ってほしいという考えから作られたということですが、そこに起用される先生の絵柄は、人の気持ちにすっと馴染むものだから選ばれるのでしょう。
『パステルシャインアート』とともに、江村先生のこれからのご活躍、とても楽しみです。
詳しくは、動画をご覧くださいませ。
前回出演していただいたときの動画はこちら
→江村先生初出演時の動画はこちら
パステルシャインアートを描いてみたいという方はこちら
→(社)日本パステルシャインアート協会
江村先生の書籍①
→一瞬で絵心の扉を開くパステルシャインアート
江村先生の書籍②
→10分で描けるセラピーアート入門