12年前に結成された『森のもの舎クラブバンド』という、ちょっとユニークなバンドの3枚目のアルバムがリリースされたとのことで、ボーカルのいざうらさんが、バンドとニューアルバムのお話をしてくださいました。
メンバーは、録音と衣装を担当しているスタッフを入れて全員で10名。
メンバーチェンジなしの10人で、12年間というのは、なかなか良い感じで続いているバンドだということが分かります。
「みんな遠い所に散らばっていて、出発点は仙台。私は今、千葉に来て、リーダーは青森で、仙台にいる人もいればカタールにいたりとか……」と、言葉少なげに語るいざうらさん。
仙台から始まって、カタールにまで散らばったメンバーが、一体どうやってバンドを維持してアルバムづくりができるのか?
ちょっとした謎です。
そして、いざうらさんの手元にはCDとおそろいの別のモノが……
「これは本ですね。夕焼けの中の時計です。時計一つ一つがメンバーで、裏にある時計が録音係と衣装係」とのこと。
CDとおそろいの表紙は、色鉛筆で描かれたとてもきれいな夕焼け空。
そこにペン描きした時計たちがポンポンと並んでいます。
希望者に配られるという文庫本サイズの可愛らしい本。
「4年位アルバム作るのにかかったんですけど、その間にやりとりした菅野さんからの手紙とか、私が書いたブログとか、レコーディングの様子とか、事細かに、若干脚色されています。
菅野さんという方が、曲や詩を書かれているバンドのリーダー。
その方がこの本も作られたとのこと。
しかも内容は、CDが出来上がっていくまでの道のりや裏舞台がメイキングみたいな感じで描かれているようです。
音楽に関わっている方にとっては『あるある的』なことでも、全く関わってない人にとっては、ひとつの曲が仕上がっていく様を、のぞき見できるというのは楽しいこと。
「全員で練習するってことができないので(カタールもいますからね)、だから曲が1本のカセットテープに入ってみんなに送られて……」と、いざうらさんは、当たり前のようにおっしゃいましたが、『カセットテープ』って、今は令和ですよ!!
リーダーの菅野さんは、パソコンが得意ではないとのことで、いまだにカセットテープに録音するスタイルとのことで、メンバーはこのためにカセットデッキを買って持っているそうなのです。
「あと、譜面が送られてきて、それぞれのメンバーが自分でアレンジするんです。自分のパート」と、やはり五月雨式にポツリポツリとお話してくださる、いざうらさん。
めちゃくちゃユニーク!
それぞれが、それぞれの場所で、自分のパートを担当していくというのは、まさに在宅勤務の今どきにぴったりですが、音源がカセットというところは、まさかの昭和。
このギャップ、面白すぎます!
「歌う人は菅野さんが選んで、『これは、いざうらさんが歌ってください』とか『これはヤッさんが』とか『これは3人で歌って』とか。コーラスは各自がそれぞれ考えて……」と、いざうらさんはおっしゃいますが、この後はどうやって作っていくのでしょう?
「録音係のジロウさんが、ミキシング。菅野さんと一緒にこもってやってるみたいです。録音自体は塩釜のスタジオで録ったり仙台で録ったり。その時はジロウさんとリーダーの菅野さんが居るところで録る」という感じらしい……
どうやら、カタールにいるメンバーの方も、その時だけは、帰国されたらしい。
遠く離れた仲間と、アルバム1枚作り上げるなんて、ハンパなく大変な作業です。
でもそうやって、てんでんばらばらに散らばっているのに、長らく12年間にわたってみんなで同じ一つのものを作っていくその原動力って何なんのでしょう。
「菅野さんの作る曲はいい曲が多いから。たまに半分ぐらいあんまり好きじゃない曲もあるんですけど3割位。『あーこれ私歌いたくないな』とか。たくさん作らないと、良い曲ってできないから。なんかほんとに天性の作曲家みたいな人で、どんどん生まれてくる種が出てきて、卵のように温めて産み出してる。産まないと辛いみたい」と、いざうらさん。
こんな風に勝手なことを言える間柄だから、続いているのかもしれません。
しかし、産まないと辛いという、鶏が卵を産むような生理現象のように作曲するというのは、生まれ持った才能という感じです。
「メンバーの、例えばボーカルのために作った、その人がいるからこんな曲ができたっていうのが結構あって。アルバムは出していないんだけど、メンバーひとりのために曲をプレゼントしたりするんです。非公開で。ただプレゼント。プレゼントのためにもみんな録音するんですよ。リーダーの菅野さんがほんとに愛が深い人で、ピュアで、メンバーのことをすごく大事に思っている」と、ビックリなコメント。
12年続く理由が、少し分かってきました。
そしてバンド名の『森のもの舎』という名前の由来をお聞きしてみました。
「『森のもの』っていう曲が最初にできたんです。2人で作曲して作詞してる時に、1曲目に『森のもの』っていうのが出来て、2人が3人になって4人になって……。増えていくうちに家になったから『森のもの舎クラブバンド』」とのこと。
『舎』という言葉には、『人が住む建物』という意味があるので、今や仙台からだいぶ離れた場所にいるメンバー全員が集う場所という感じで、『森のもの舎』というネーミングは、ピッタリです。
「物で買っていただけると在庫があるので私たちはうれしいんですけど、試しに聴きたいなって方は私のYouTubeに1曲あげたのがあって『深呼吸』っていう曲が聴けます。さっきSpotifyにも上がっているのを発見しました」と、何とものんきな、いざうらさん。
とても素敵な曲が入っているので、ぜひぜひ聴いてみてくださいませ。
詳しくは動画をご覧くださいませ。
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