成城学園前の駅から徒歩15分『サローネ・フォンタナ』オーナーの高江洲禮子さん

成城学園前の駅からお散歩気分で徒歩１５分。
一見、普通の住宅にしか見えない建物ですが、中に入るとびっくり！教会のような美しいコンサート会場が現れます。
ここが、『サローネ・フォンタナ』
オーナーの高江洲禮子（タカエスレイコ）さんに、お話をうかがいました。

『サローネ・フォンタナ』
名前からして素敵ですが、語源は『フォンティーヌ』
『泉』です。

この『泉』という言葉を選ばれたのは、お兄様が経営されている、沖縄にある『いずみ病院』が原点。
芸術療法を主体とした病院を経営しておられ、そこでは「汝の立つところを深く掘れ、そこに泉あり」というメッセージとともに、各種芸術を取りいれた文化的な病院を目指されている素敵な病院なのです。
ここから、『泉』⇒『フォンティーヌ』⇒『フォンタナ』と名付けられたとのこと。

ご出身地である沖縄では、ご両親、ご兄弟と、ご家族一同が、歌や踊りなど、日常的に芸術に慣れ親しんでいらしたそうです。
もともと沖縄の方は、何かにつけて口から素敵な音楽が出て楽器を奏でて踊ります。
悲しみにつけ喜びにつけ、音楽がともにある土地柄ですので、当然の流れなのかもしれません。

禮子さんご自身は、１２歳から東京に来られていたそうです。
その当時、沖縄は米軍統治下でしたから、留学という形でお兄様たちと一緒にパスポートを持って来られました。
そう、昭和４７年に日本に返還されるまでは、沖縄県は、アメリカの領土だったのです。

そして禮子さんは、そのまま成城学園の近辺に６０年ほどお住まいになられています。
今では、高級住宅街として有名で、大きな家が立ち並ぶ街ですが、当時は垣根を全て生垣にしなくてはいけないという決まりがあったそうなので、本当に緑が多い町だったと、子ども時代を振り返ります。

成城は、今でもその名残があるので、生垣のお宅をそこここで見かけ、普通にお散歩していても、素敵な街並みに心がウキウキしますが、そんな楽しい散策の中でも、こちら『サローネ・フォンタナ』はひときわ目を引きます。
外から見ると普通のお宅にも見えますが、蔦が絡んでいて出窓があって本当に素敵な建物。
おしゃれに見える出窓は、防音のために二重になっているので、夜遅くにジャズなどいろんなイベントが開催されても、表を通る方は気がつかずに通り過ぎて行かれるそうです。

「コンサートホールとしては小さいけれど、音だけは自慢です」と、禮子さん。
クラッシック好きな方や、マニアックな方々にとても人気の場所です。
天井も高いので、音を包み込んでくれるような作りになっており、出窓から差し込む光が美しく、時を忘れて空間に身を委ねたくなります。

宣伝は、一切していないとのことですが、一度ご利用になられた方や、お越しになられた方からの口コミやリピートがほとんどというのも、この場に身を置くと納得できます。

そして、今までに数多くのコンサートが開かれていらっしゃいますが、コンサート以外にもＮＨＫのＢＳの番組で、小澤征爾さんとピーター・バラカンさんの対談の収録に使用されたり、宮崎あおいさんの番組の『ぴあのピア』と言う番組の冒頭がこちらで収録されたりとテレビ番組にも登場しているのです。
宮崎あおいさんが、「ここはピアノのためのホールです」とおっしゃったシーンが印象的で、素敵な番組が出来上がったとのこと。

また、お越しになられたお客様で具合が悪くなってしまわれたことがあったそうですが、「お好きなところで横になってお聴きください」とお伝えし、そのままコンサートをお聴きいただいたとのこと、すると帰りにはすごく元気になられたというのです。

冒頭に芸術療法の沖縄の病院のことも出ましたが、良い芸術に触れると、心の状態が良い状態になり、それはそのまま身体にも良い影響をもたらしていきます。

「音で癒されますし、すべてのマッチングでコンサートが出来上がっていきます。
やはりその場に身を置くだけで気持ちって変わると思います。これからもこちらの会場で良いファンの方々に来ていただいて素敵なコンサートを開いていただけたら嬉しいです」と、禮子さんの表情が笑顔であふれます。

最後になりますが、放送日である８月１６日から『偲ぶ展　寺田しのぶ個展』という仏画展が行われます。
この機会にぜひ、足を運んでみていただきたいです。

色々な方が訪れてコミニケーションを取ったり、仲間を得たりと、素晴らしい芸術の広がりが『サローネ・フォンタナ』から始まっていくことを、心から応援したいと思います。