自然の風景は、見ているだけでもホッとして癒されることが多いですが、ある一部分の風景にフォーカスした、ちょっとユニークな写真家さんを、ロッキー田中さんにご紹介いただきました。

その被写体とは、『雫』
マクロレンズを通した小さな世界が、見ている側を見事に癒してくれるのです。
そんな、『雫』だけを専門に撮影されている、雫写真家の小野桜呼さんにお話をお聞きしました。

「なぜか、『雫』以外のものにほとんど興味がないんです。私が撮っている『雫』には二種類あります。一つは晴れている日の朝露、もう一つは、雨が降った後の、あるいは雨が降っている時に葉っぱから落ちかけている雨だれ、その二種類があると思っています。本当に綺麗ですね。朝日が入らない日もあるんですが、やっぱり朝日が入ると、『雫』の写真の出来栄えが全然変わってきますし、どこから光を取り入れて、どの角度で撮るか?ということも関係してくるんですが、要素が色々と絡み合って、奇跡の瞬間……」と、おっしゃる小野さんですが、まさに奇跡としか言えない作品がずらっとあるのです。

「そうですね。実はしばらく、あのような状態でいてくれたので、私も通りすがりに『あ!これだ!』と思って撮ったわけです。クリアに撮るためには、やはり最低でも10秒以上はセッティングが必要なので、そんな状態を『雫』さんの方が保ってくれないと撮れないです。ということで、なぜ落ちないのか分からない状態が少なくとも20秒から30秒、そのままでいてくれるわけです」と、桜呼さん。
この状態が、しばらく続いていたというので、本当にびっくり。

見事なほどにまん丸の球体が、大・中・小、しかも後ろの背景が球体であるがゆえに、まっさかさまになって、大・中・小、微妙に違う景色が並んでいて、しかも、周りがいい感じにぼやけています。

小野さんは、ご自分のオリンパスのカメラを『オリちゃん』、接写するためのマクロレンズを『マクちゃん』と名付けて大切にされているのですが、この『オリちゃん、マクちゃん』コンビが、肉眼では見ることのできない世界を、『写真』という形に変換してくれるのだそうです。

「『雫』の中に映り込んでいる世界はあるんですが、それは肉眼ではほとんど見えない、ちょっとぐらいしか見えないです。なので、『オリちゃん』と『マクちゃん』が見せてくれてるわけなんです。だから、『オリちゃん』と『マクちゃん』にいつも感謝です。きれいに撮れると、「ありがとうありがとう!」とベタベタ可愛がります。その瞬間に出会わせて頂いて、やっぱり神ですかね?神と水と植物と、いろいろなものに感謝しながら撮っている、という状態で……。感謝している、というのは陳腐になると思うんですが、私は『愛』と呼んでいます」とおっしゃる桜呼さん。

確かに、人間の力だけでは撮れないのです。
人間の力ではない、何か見えざるものが働いて、でも、カメラマンであり写真家である、その存在性なくしても撮れないわけです。
これはもう三位一体か何位一体かわからないのですが、全部が重なり合った奇跡の一枚なのです。

「しかも、それを撮るために、もの凄い集中力が必要で、その『雫』に『オリちゃん』がどれぐらい近づけて大丈夫か、勿論、一番ギリギリのところまで近づきたいんです。近づきすぎて落としちゃったってならないように、落ちないギリギリの瞬間にシャッターを押せるという幸せ!」と、本当に幸せそうな桜呼さん。
見せていただくこちらも幸せです。

「ほんとに瞬間です。しかもそれがちょうど右寄りなのか左寄りなのか、上になってるか下になっているかで、入り込む景色も違います。マクロレンズなので周りがボケる。ボケた時に玉ボケと言いまして、光が玉の形になって、光がボケて玉ボケになっているという写真がたくさん撮れてるんですが、その玉ボケを撮るために撮ったりとか、『雫』が主役のように見えるんだけども、本当は、ぼやけてる背景を見せているという写真もあって、その瞬間は瞬間でしかないので終わってしまうんですが、家に帰ってからそれをパソコンの画面でデータを開いてみた時に『うわあ!』という感動がある作品もあります」と、桜呼さんはおっしゃいます。

しかし、『雫』写真を撮り始めたきっかけと時期をうかがって、びっくりしました。

「一番最初は、スマホで写真を撮っていた時に、雨だれとか朝露とか……。最初はスマホだったんです。何故かというと、私は早朝ランニングをしてまして、スマホをポケットに入れて走っていたんですが、『うわあ』と思って撮ってたのがきっかけで……。それがおそらくちょうど1年位前です。スマホでは飽き足らなくなってきて、もっと近づいて、もっとクリアな、もっと『雫』に近づきたいと思ったのがきっかけで、『オリちゃん』を手に入れたんです。中古ですけど、カメラは、カメラのキタムラさんに行ったら、『オリちゃん』があったんです。お店の人に『雫を撮ってるんです』と言ったら『これだね』と言って出して貰ったのです。別にカメラにも凝ってないし、機材じゃないんです。被写体がメインなので……」と、さらりとおっしゃる桜呼さん。

始められてまだ、1年くらいだとおっしゃるのです。
しかも、最初はスマホ写真!
アマゾンで写真集を出されている方の経歴とは思えません。

「私が撮っているところが大宮の氷川神社というところなんですが、裏が大宮公園、水の神様らしいんです。私は小さい頃水泳部だったんですが、水というものに対するものすごい畏敬の気持ちがあって、水・植物というものに対する畏敬の気持ちが、やはりそういう世界、地球上に水があってこその生命だと思っているので……。その畏敬の気持ちがその瞬間に出会わせて貰えているのかなと」と、桜呼さん。

確かに、氷川神社は、スサノオノミコトをお祀りしており、『水』と関わりが深いといわれています。
ご自身の経験と、ご自宅のそばの氷川神社という組み合わせが、小野さんの奇跡の写真の土台となっているのでしょう。

心癒される素敵な作品が日々誕生しているので、ぜひ、小野桜呼さんのサイトで、幸せな気持ちを満喫していただきたいと思います。

詳しくは動画をご覧くださいませ。

小野桜呼さんのInstagram
https://www.instagram.com/onosakurako44/
小野桜呼さんのFacebook
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