得も言われぬ歌声に心が揺さぶられる、そんな声の持ち主である廣瀬かおりさんは、フランス在住。
『心音(しんおん)歌手』という、独自のジャンルで活躍されています。
『心音』とはどんなものなのか、『声楽』の道に進まれた経緯などのお話をうかがいました。

フランスには、なんと13年間もお住まいとのことで、今は、休暇を取ってのお里帰り中。
短い休暇はあっという間に終了し、間もなくフランスに戻られるそうです。

かおりさんは、フランスの前には7年間、オーストリアのウィーンで声楽の修行をなさったとのこと。
素人考えかもしれませんが、日本人が『声楽』の道で、20年もヨーロッパで生き抜くのは並大抵のことではないと思います。
ところが、かおりさんは天真爛漫な笑顔で苦労を吹き飛ばしてきたかのように、楽しそうにその当時のことも語ってくださいました。

お話をお聞きすると、『声楽』との出会いはとても意外なところにありました。
もともとは、チアリーディングをなさっていたそうですが、そこで足をくじいていなければ、今のかおりさんの歌声を聴けなかったというのですからびっくりです。

足をくじいていたため、チアリーディングを休まざるを得なかったときに、合唱団の指揮をされていた先生から「メンバーが足りないので合唱を手伝ってください」と言われて歌ってみたことが、運命の扉を開くことになったのです。
芸大のオペラ科を卒業されたその先生から「おお。いい声しているね」と、ほめられ、1ヵ月後のコンサートにも参加し、ちょっとずつ「オペラってこうなんだ」「声楽って、こんな声で歌うんだ」と引き込まれていったのだそうです。

とはいえ、それまで『声楽』とは無縁だったかおりさんが、言葉も通じないヨーロッパに飛び込んでいくのは、無謀ともいえるチャレンジです。
しかし、その厳しい世界で、自らの居場所を確立できたのは、人の何倍もの努力と、生まれ持った才能があったからこそでしょう。

ちなみに、どんなに大きなホールでも、声楽家の方やオペラ歌手の方はマイクを使いません。
ご自身の身体全体が楽器。
生の声を、会場の端から端まで響かせるということはとても難しいことで、「声楽はどこにいようと一生トレーニングです」と、かおりさんはおっしゃいます。

『声楽』というジャンルは、心身の鍛錬なくして成立しないほどに厳しい側面を持っているからこそ、聴いている観客の心が揺さぶられるということが、お話をうかがうにつれ、わかってきます。
そもそも自分の声というのは、身体の中で響いているので、他の方が聞いている『声』とは、微妙に異なります。
そして普通は、自分の身体の中の響く音を聞いてしまいますが、自分の身体に響いた声を聴くと、頭のコントロールが入ってしまい、『脳』が「これは違う」とちょっとでも感じた瞬間、せっかく自然に出ていた声が閉じてしまうのだそうです。

さらに、感情を込めて歌うこともいけないとのこと。
これまた、驚きです。
聴衆を感動に導くには、感情に乗せて歌を表現するのかと思いきや、逆なのです。
かおりさんご自身、若い頃は感情込めて歌おうとされていたそうですが、先生から「ちょっとやめてください。それは自己満足ですよ」と注意されてしまいました。

これもまた、『脳』との闘いのようです。
感情を入れようとした途端、頭が働いてしまいます。
歌っている側が、『自分の身体が気持ちよく、開放感を感じ、リラックスしている状態』こそが、聴いている側も気持ちよく感じるのだそうです。
確かに、そこを目指すのであれば、『感情を込める』という行為は必要ないことになります。

「歌とは瞑想だ」とおっしゃる先生もいらっしゃるそうで、見えない何かに『歌わされている』という領域が存在するようで、「そこまでの領域になるには、何百回も繰り返して鍛えあげていくのです。職人です。そこに至るまでの道というのはなかなか険しいのです」と、かおりさん。
まさに、職人の世界に通ずる厳しさを感じます。

さて、肝心の『心音歌手』のお話です。
『しんおん』という響きは、音的には日本語だとたくさんの文字が当てはまります。
『心』『神』『真』、これらすべて『しん』と読みます。
ある意味、このすべてを含めての『しんおん』ともいえると思いますが、かおりさんとしては、「神様の音でもないかな?」と思っておられ(初期の頃は『神音』と表現していたこともあるので、下記のCDジャケットには『神音』と表記されています)、「自分の心のままに生きる」がご自身のテーマでもあることから、『心』という漢字を当てて、『心音』とされています。

きっかけは、かおりさんのご実家が宮司さんの家系であることにも関係しているようです。
そもそも、京都の亀岡、丹波、出雲大神宮、そこは廣瀬さんだらけで、山梨出雲大神宮に廣瀬家の古墳があるそうです。
ところが、そこは山賊に荒らされたまま、放置されていたので、そこにいた神職さんから、当時10歳だったかおりさんのお嬢様が奉納演奏することによって、霊が鎮魂されるといわれたそうです。
そこで2年前に『心音コンサート』を行ったそうです。
日本語は、特別なエネルギーがあり、『音霊』『言霊』が宿っていると言われています。
このパワーを活かした音楽が『心音』なのです。

さらに、かおりさんはとても素晴らしい曲を歌ってらっしゃるのですが、でもそのタイトルは、放送禁止用語。
パワフルなエネルギーであるからこそ、隠語として封じ込められてしまった言葉です。
『オトコ神』
『女神(メガミ)』
『コドモ神』
実はこの頭文字をつないだ言葉は、とても神聖で力がある重要な言葉なのです。
「この世界には男女がいて、まぐあいがあります。神聖なまぐあい、神聖な子宮、ご神事があって、選ばれたお父さんとお母さんがいて、子どもは選ばれて生まれてきます。すべてがクリエーション。創造の地球です。陰と陽が交わって一つのものが出来上がっていきます。すべての象徴的なエネルギーがそこにあるのです。まさに統合です。それがゆえに権力者がそのエネルギーを使うために、一般市民にはよろしくないものとして封印されてしまったのです」と、かおりさんは語ります。

ちなみに、このパワフルな三文字を歌うことになった時、かおりさんは、シューベルトのアベマリアのメロディしか思い当たらなかったそうです。
実に、美しい調べです。
長い歴史の中で封印された、宇宙を作り出すパワーを持ったこの言葉の封印を解くことが、かおりさんのお役割なのでしょう。

ぜひともCD等か、次回日本にお戻りになられたときのコンサートで聞いてください。
詳しくは、動画をごらんくださいませ。

■ 心音〜しんおん歌手 ひろせかおり公式ブログ

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