作家であり、『FujiSunマリコアカデミィ』主宰、そして、一般社団法人武士の文化協会の理事であられる石川真理子先生に3週連続でお話をうかがっておりますが、たった3回では、どうにも足りないといほど、先生の知識と教養は奥が深いのです。

もちろん、武士の娘であったおばあ様をはじめ、家庭で身に着けたものは大きいです。
しかし、そこから先の探求は、あくまでも真理子先生の知的好奇心の賜物。
『武士道』を極めていかれる中で、ご自身で紐解かれて、ご自分で調べてらっしゃったのです。

「仕事もしてましたし、子育て中でしたし、そんな中、一切合切私がいたしますので、とてもどなたかの講座に行くことは出来ませんでした。尚且つ、男性だけでなく、武家の女性、武士の娘とはどういう意識だったかというのを知りたかったんです。女性の先生だったらそういうところも調べていらっしゃると思うんですが、探してみると女性で武士道を研究されてる方がいらっしゃらなくて」と、真理子先生は独自の道を切り開いていらしたのです。

武家のおうちの中で、中心人物は、表立っては男性でしょうが、それを支えている女性の世界観、すごく重要ですよね。

「『奥さん』という言葉がありますが、これは武家言葉から来てまして、『表』というのは政務を司る男性が担当する所、『奥』というのは女性が家来も含めて統率する所です。『奥』が乱れたら、表が成るようになっていきません。『奥さん』というのは女主人のことなんです。奥さんは、女性も勿論ですが、奥向きの家来なんかも一族郎党きちっと統率していて、みんなをまとめていかなければいけないんです。そこがちゃんとなっていなかったら、主人がお城だったらお殿様、きちっと政治ができないんです。謀反が起きるのは常に奥ですから……」と、さらりと真理子先生はおっしゃいます。

さらに続けて、「『奥さんて怖い』どこかで男性が奥さんを怖がっています。寝首をかくことができるのは奥さんなんです。『この人、私のこと大事にしてくれないから、もう毒でも盛ってあげようか?』そんな話になりますと物騒ですけれども、昔は本当にそんなことがあったんです。どうやって奥さんを大事にしようか、と……。『武士道』というと皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか、時には男尊女卑的なものだっていうふうに思われている、そんなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかなと思うんですが現実問題としては非常に女性は大事にされるべくしてされた所もあります。全部とは言いません。そう見えないところもいっぱいあったと思いますが、武家の夫婦というのは、社長と専務という感じです」と、真理子先生。

社長と専務という関係性というのは、かなり意外です。

「主人が合戦で表に出た時は家を守るのは女主人ですから、女の戦いがあるんです。そこに敵が攻めて来ましたらどうやって戦うのか?ということをきちっとやっていかなければいけないんです。采配を取るのは武家の女性ですから。だから強くならなければいけなかったんです。自分の意思がはっきりしていて、広く見ることができて、いざとなれば決意を持って皆さんを、家来を、動かすことができる。そして最終的にはどういう処分をするのかということもできる。もうそこで泣いてオタオタしてたらどうしようもないですから。ときには武家に生まれた男子以上に女子の躾が厳しかったのはそういうところがあったのだと実感しています」と、真理子先生は教えてくださいます。

このようにうかがうと、当時の女性の凛々しいこと。
同じ女性というカテゴリーにくくっては申し訳ないほどに、武家の女性は、しっかりした教育を受けているということでしょう。

「男性より女性の方が強いところがありますから、自分の子どもに『武士道』というものを教えるのも母親、女性の役割ですし、ある程度したら男性の教育係として教えて行きますが、最初のところは女性がやります。受け継いでいく、繋いでいくのは女性の役割なんです。だから、ともすれば男性以上に継承していくという上では女性が如何に『武士道』を心得ているかということがとても大切になります。でもそれを研究する女性がいなかったので私がやりました」と、真理子先生はおっしゃいますが、本当にお一人で研究されてきたとは思えない膨大なデータです。

「実は、『武士道』のいろんなところに『この先生はどんなお話なさるのかな』って、合間を縫って行ってみたことがあるんですが、多くの場合は8割以上、殆どが『武士道論』だったんです。『こういう解釈します』『ああいう解釈します』『こういう歴史でした』。私自身は自分の小さい時からの12歳の時まで祖母との生活の中で、暮らしの中で活用されている形で入ってきていましたので、論になっていたってどうしようもないなって思ったんです。そんなこと言ったら失礼なんですが。私の祖母が『知識だけではしょうがないでしょ?』っていうことを言う人だったんです。『知識だけではなくて、それを如何に行動して行くかということまでやらないと役に立たない。本物じゃない』ということを常に言う人だったんです。凄くそれが入っています。だから『活用されない武士道』って何だろう?と……」と、とても真理子先生らしい反応です。

まさに、使われないのであれば、データはただの文字列にすぎません。
この時代を生きてきた彼らにとっては、まさに命がかかっていたわけです。知識ではなく、生き抜くための活きた知恵でなくてはいけなかったはずです。

「『武士道』も知ってるだけでは皆さんの人生を変えて行くことはできないし、自分を変えて行くことができません。だからそれを行動に移していく、意識に落とし込んで行動に移し込んで、それを毎日自分の暮らしの中で繰り返していくことなんです。そうすると自分自身がすごく目覚めて行きますし、それと同時に『あれ?』という風に、周りが何か変わってきたなという実感が必ず来ます」と、おっしゃっる真理子先生は、普段の生活にもしっかりと『武士道』の在り方が根を張っています。

そんな真理子先生から、最後にメッセージです。

「夜お休みなるときに『今日もこの一日を生きることができてよかった』という感謝とともに、お休みになっていただきたいと思います。どうしてかというと、明日、目が覚めるという確証がないからなんです。ですからどんなことがあったとしても、ともかく今日一日こうして過ごすことが出来たわけですから、もし嫌なことがあってイライラしてたり、気持ちが落ち込んでいたとしたら、『そんなこともあったんだ。だけど、でも、これを今日この人生が終わるとしてもイライラしたままで終わりたくないな』と思ったら、『だけどこのことがあってありがとう』ということを形だけでもいいから手を合わせて、自分の中に、お腹に落とし込む感じで、そのようにして終わってほしいです」とのこと。

確かに、明日、目覚める保証など一切ありません。
当たり前のことですが、普段は全く意識していません。
この感覚を大切にするだけでも、日々の積み重ねで大きな変化へと繋がりそうです。

「そのようにしてお休みになって、そして朝目が覚めたら、ちゃんとご自身が生きているということを感じていただくために、私は自分が『肉体を持ってこの人生経験を積んできてごらん』っていうふうに、神様がこの身体をくださったと思っているので、自分の身体に触れて、今日も目が覚めたということに感謝してから起きるんです。それだけで結構変わってくると思います」なんとも素敵な発想です。
少しずつでもできることから実践していきたいものです。

詳しくは動画をご覧くださいませ。


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