● 2019年12月22日放送
インドの弦楽器の一つ『シタール』は、実に奥行きの深い美しい音色を奏でる楽器です。
『シタール』の演奏家である加藤さんから、『シタール』の魅力や演奏家になられたきっかけなどをお聞きしました。
『シタール』は、日本ではなじみが薄い楽器ですし、さらに演奏家となると限られてくるのではないでしょうか?
そんな『シタール』と加藤さんのなれそめは、加藤さんが20歳の時。
高校時代の恩師からインド行きを勧められて、いきなりインドに旅立ったことがきっかけです。
当時はまだインターネットも無い時代でしたから、まずは図書館に行って、インドについて調べてみたそうです。
そして、その時にたまたま『シタール』に関する記事に出会ってしまいます。
そこで加藤さんは、その図書館で『シタール』のCDを見つけ演奏を聴いてみました。
しかしその時点で、加藤さんの頭の中は『?』だらけになってしまったのです。
この『?』だらけの『シタール』の謎を解明しようということでインド行きが決定したわけです。
「あまり考えてしまうと行動が止まりますから」と、おっしゃる加藤さんの行動力は並外れています。
ちなみに加藤さんがインドを訪れたちょうどその時は、イスラム教とヒンドゥー教の対立があっそうで、行きの機内には乗客はわずか2、3人。
そんな情勢も知らずに3ヶ月間のインドの旅に足を踏み出された無謀な加藤さん。
ところが、実際にインドの地に降り立ってみて最初に遭遇したカルチャーショックは食べ物だったそうです。
なにしろ、カレーが衝撃的な辛さ!
しかし、インドでは食事=カレーですから、どんなに辛くても、選択肢は『カレー』しかないのです。
そうした中、生まれて初めて食べたマトンカレーでお腹を壊し、なんと入院。
しかも、病院で『シタール』のことを聞いたら、誰も知らないと言うので、大ショック!
実は、『シタール』はインド北部の楽器。
加藤さんが訪れた地域は南部だったのです。
しかし退院後に滞在したホテルで、加藤さんは『シタール』をひく日本のお坊さんと出会います。
そして『シタール』の有名な先生がその街に来ることを教えてもらえたのです。
「演奏は勿論、素晴らしい人格者だから」ということで一緒に演奏会に足を運びます。
すると、その方は加藤さんが日本の図書館で借りたCDの『シタール』演奏者だったのです。
ご縁とは、不思議なものです。
さらに、生で聴いた『シタール』は本当に素晴らしく、加藤さんは弟子入りを即決されました。
コンサートの後、楽器屋さんで『シタール』を購入。
カルカッタに帰る先生に同行させていただき、滞在期間最後の1カ月はその先生からレッスンを受けることができました。
しかし、『シタール』という楽器は、きちんと演奏が出来るまでには10年から15年もかかるものなのだそうです。
帰国後は30歳までと目標を決め、昼間は練習、夕方からアルバイトという日々を過ごされ、その結果、ちゃんとプロになることができたのです。
動画もご覧いただきたいのですが、『シタール』は、楽器からわずか1メートルほど離れただけで、弦がほとんど見えないくらい細い弦が使われています。
一番細い弦の太さは約0.22ミリ。
弦は全部で20弦。
指先にはめた金属製の爪で、弦をつまびくと身体を震わすような音が辺りに響き渡ります。
たった1台の『シタール』から広がる音色は、多くの音が重なり合って、見事に美しい音楽の世界を作り出していきます。
その音の世界は、身体の奥深くまで響き、幸せなひと時とともに大きな癒しをもたらしてくれるのです。
さて、『シタール』はインドの楽器です。
ところが、音色も、楽器に施された装飾も、なんとなくアラブ的な香りを感じます。
そこで、加藤さんにルーツをお聞きしました。
「およそ700年前、インドにもともとあった『ヴィーナ』という楽器(ちなみにこれは日本に直接来て琵琶になります)と、同じく700年前のペルシャにあった『セタール』という楽器、それらの融合が現在の『シタール』なったんです」とのこと。
アラブ的なイメージもこれで頷けます。
現在、加藤さんは、様々な場所で演奏されており、お寺でのライブもなさっています。
癒しの空間での瞑想タイムをご希望の方にはうってつけでしょう。
『シタール』の音色に包まれる、贅沢な時間をぜひあなたも持ってみてください。
詳しくは動画をご覧くださいませ。
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