● 2019年12月1日放送
創業文政元年。
なんと今年で201年目を迎えるという『糀(こうじ)』の専門店の9代目である川口さん。
糀という観点から作られる『お味噌』づくりのお話をうかがいました。
最近では、自宅でお味噌づくりをされている方が増えてきていますが、昔は各家庭で手作りすることは、そんなに珍しくはないことだったはず。
家で作ることで、その家庭の家族にピッタリのお味噌が出来上がります。
それは、味ということだけではなく、『お味噌』が発酵食品だからこそ、作り手の手にある『菌』がミソなのです。
作る際、『お味噌』を手で触るので、人それぞれが持つ常在菌が、手から『お味噌』へと移っていくため、まったく同じ材料で作ったとしても、作り手ごとに、『菌』のバランスが異なり、味も変わるのです。
でも、この『菌』によるカスタマイズこそが、各家庭の家や家族にピッタリの『菌』による変化なので、味も『菌』のバランスも秀逸な『お味噌』が出来上がるわけです。
そして、川口さんご自身は、20歳の時に家業を継いで、今年24年目。
熱く語ってくださるポイントは、まさに『糀』のこと。
『お味噌づくり』はなさっていますが、『お味噌屋さん』ではなく、あくまでも『糀屋さん』なのです。
『お味噌』には欠かせない『糀菌』を繁殖させ、この『糀』を使って作ることが重要な点であり、主役の座は、まぎれもなく『糀菌』にあるわけです。
「味噌があれば薬も要らないし、他の食品も要らないくらいです」と川口さん言い切ります。
実際に、ちゃんとした材料と手順を踏んで発酵した『お味噌』は、栄養価がとても高く健康を支えてくれる食品なのです。
『お味噌』が誕生した時代では、調味料でなく、ご飯の『おかず』だったという歴史があります。
最近では、おみそ汁を飲まない人が増えてしまっていますが、私たち日本人のDNAには、『お味噌』や発酵食品がしっかりと刻まれています。
お米や発酵食品は日本人の身体に最高にマッチしているのです。
ちなみに、川口さんの普段のお食事は『ごはん』『味噌汁』『お漬物』
150円くらいのローコストで、健康をしっかり手に入れているとのこと。
お肉やお魚もないような、そんな粗食で、大丈夫?と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、タンパク質を作っているのはアミノ酸なのです。
発酵食品には、良質なアミノ酸がたっぷり入っているので、まったく問題ないのです。
『糀』を食べていれば腸内も綺麗になりますし、『糀』を触った手は、つるつるになります。
サプリメントもお化粧品も不要で、『糀』だけで身体の内側外側が素晴らしい状態に保てるのです。
さて、この川口さんの『糀屋さん』で育った『糀』と、こだわり抜いて準備された材料を使って作る『お味噌教室』が、つい先日、オアシスハウスで行われたのです。
川口さんが前もって、丸二日もかけて、大豆の仕込みをしてくださっているので、教室では、『お味噌』の仕込みと、『塩糀』の仕込みの二つを行っても、正味1時間半という短い時間で完成してしまいます。
自分のための『お味噌』を、自分の手で作るという貴重な体験は、実に楽しく本当にあっという間の出来事です。
実のところ、『お味噌づくり』で一番大変なのは、川口さんが準備してくださった大豆の仕込み部分なのです。
吸水に24時間、煮るのに9時間。
さらに、火を止めて寸胴の中で蓋を閉め朝まで冷まし、冷めてから改めて再加熱するそうです。
この再加熱によって、一旦大豆の外に出てしまったうまみを、もう一度大豆の中に戻すことができるそうで、こうした手間をかけておいしい『お味噌』になるための大豆が仕上がっていきます。
川口さんのお話をうかがったり、実際に『お味噌』を作ってみると、自分の口に入るものを手作りするという、当たり前なことが、どんどん遠くに離れていっている現実をもっと見直す必要があることを痛切に感じます
しかも、『お味噌』は現在、国内需要よりも外国への出荷の方が多くなってしまっているとのこと。
これが今の日本の現状。
日本の伝統の素晴らしさを、改めて見直したいものです。
これからも年に2回ほど、オアシスハウスにて『お味噌教室』のイベントを行う予定とのこと、オアシスハウスのイベント情報を、要チェックです。→オアシスハウスのページはこちら
詳しくは動画をご覧くださいませ。