高橋啓一『NPO法人岡山県木村式自然栽培実行委員会』

■ 『ＮＰＯ法人岡山県木村式自然栽培実行委員会』
　　　理事長　高橋啓一さん

●　2019年4月28日放送

木村秋則さんの実話から映画化された『奇跡のリンゴ』は、内容を知ったら誰もが食べたくなる特別な『リンゴ』です。
同じようにした作られた『お米』について高橋理事長に詳しくお聞きしました。

長い年月の努力を経て作られた木村秋則さんの『奇跡のリンゴ』を、実際に手に入れたことのある方は、「半年経っても美味しかった」と、信じがたいことをおっしゃいます。
その木村さんから指導を受けて、農薬も肥料も除草剤も使わずに作られた『お米』が、岡山県で作られている『朝日』という品種の美味しい『お米』です。

野菜もお米も無農薬が良いのはわかっていても、まだまだ、手に入れにくいのが実情ですが、この木村式自然栽培で作られる『お米』は、単なる無農薬ではないのです。
お米を中心に、桃、葡萄など、エネルギー値が大変高いものばかりを生産していらっしゃるのですが、表現自体にもこだわりがあって、『無農薬』とは言わずに、『農薬も肥料も除草剤も、使わない』という言い方を選んでいます。
こうした一つ一つに、『木村式自然栽培』を実践されている誇りを感じます。

実際には、農薬を使わずに『お米』を作ること自体難しいもので、現在１００万人いると言われている農家の方々に「肥料・農薬・除草剤を使わずに栽培出来るか？」と問えば、答えは間違いなく「ＮＯ」と返ってくるはずです。

１００年前までは、農薬も肥料も存在すらしていなかったはずなのに、どうしてこんなことになってしまったかというと、終戦直後に、食料を増やす必要に迫られていたことが原因なのです。
そのころに肥料が開発され、農家の方々は、肥料を使うことへと移行していきました。

肥料を使ってどんどんお米を作ります。
そして品種改良が行われ、『種』自体が弱くなっていきます。
弱い作物には虫がくるため農薬が必要になります。
農薬を使うと、土の中のバクテリアが死んでしまうのです。
すると大地の力が弱くなるので、さらに肥料を増やすことになるのです。

これでは、どう考えても悪循環。
こんなことが、実際の現場ではずっと行われているのです。

逆に自然栽培とは、次世代へ命を繋ぐことができるようなエネルギーの高い作物が育つように、時間をかけて根を張らせます。
十分に根ができてから芽を出させます。
先に根を張る栽培法のため、茎は太く丈夫に伸びていきます。
この太さの分だけもみがつくのです。

しかし、現在の一般的な米作りでは、寒冷地でも出来るように品種改良されており、だいたい９０日で収穫出来ます。
根を張るより先に芽を出し、細い茎のまま育っていくので、収穫された千粒分のモミの重さはコシヒカリなどで１８～１９ｇだそうです。

ところが、木村式自然栽培の『朝日』は、収穫に１２０日かかります。
３０日も長い時間をかけ育った千粒分のモミの重さは、２２～２３ｇ。
ずっしりと大粒で重いお米ができるのです。

さらに、カルビーの相談役松尾氏から、「３０％は現物、残りは付加価値のあるものを作りなさい」と、ご指導を受けたこともあり、木村式自然栽培では、お酒、お酢、お味噌なども作っています。

玄米は炊くのが難しいというご意見を良く聞きますが、こちらでは、レトルトパックの玄米ご飯も販売されていて、簡単に柔らかくおいしい玄米ができてしまうのです。
レトルトなので、賞味期限は常温で１年間、非常食としても最適です。

そしてこのご飯は、ダイエットしたい方にも必見です。
体重が１１０ｋｇあったスタッフさんが３０ｋｇも体重が減り、入退院を繰り返していたこの方が元気になられたのも、立役者はこの玄米のご飯というわけです。
１週間食べていただくことで、便通が良くなるそうです。
農薬も肥料を使わず大地のエネルギーをしっかり吸い取った大粒の玄米はエネルギー値が違うようで、いろんな現象が起きているそうです。

本家本元の木村さんが自然栽培でリンゴを作るのに１１年、広めるのにさらに１７年かかりました。
そのくらいに、努力を重ねた歴史の上にある、この自然栽培の流れなのです。

ちなみに高橋さんのご本業は、回転寿司の『すし遊館』というお店の経営です。
実のところ、高橋さんの多くの人脈があったからこそ実現したＮＰＯ法人なのです。
まさに天の采配。
今では、自然栽培をするために寿司屋になったのだとおっしゃる高橋さん。

『すし遊館』には多くのファンの皆さんがおられます。
お寿司のシャリは、贅沢にも自然栽培米が使われているので、ファンが多いのも納得です。

ＮＰＯ法人のお米・お酒・お酢・レトルトパックの玄米ご飯など、さらに多くのファンを増やして日本全体が自然栽培に移行していくことを望まずにはいられません。

詳しくは動画をご覧くださいませ。