● 2018年10月21日放送
『心と身体の喜ぶ服』をテーマに、上質なシルクを使ってスカーフを製作されている石井良恵さん。
沖縄・琉球王朝の流れをくむ伝統的な柄を取り入れた作品についてお話をうかがいました。
2017年から沖縄にご縁が繋がり、そこから沖縄に着目をするようになった石井さん。
沖縄を代表する染色技法の一つである紅型(びんがた)との出会いから、紅型とスカーフのコラボを考え始めます。
ところが、伝統的な技法を受け継ぐ職人の方々からは、「着物ではないから」と門前払いされ、取り合ってはいただけなかったのです。
石井さんは、『古くて新しいものづくり』を念頭に入れて作品に取り組んでいらっしゃいます。
頑なに伝統のままでいようとするが故に、大切な伝統が廃れていってしまう現実を日頃からもったいないと感じているので、伝統の良い所を現代社会に引き継ぎつつ、日常生活に溶け込むようにアレンジすることを目指していらっしゃるのです。
この気持ちが届いてか、トモコさんとおっしゃる職人の方とのご縁がつながります。
なんと、トモコさんの方も、紅型のプリントで洋服を作りたいとお考えだったとのことで、ミラクルな引き寄せが起こり、新しい作品が出来上がる道が開かれたのです。
そもそも、紅型は、琉球王朝時代に王族・貴族の方々の衣装のための染ものとして、沖縄で独自の発展を遂げた技法です。
鳳凰や自然のモチーフの型を作って顔料を置き、隈取りを残しつつ、ぼかして仕上げます。
このように、全て職人さんの手作業によって仕上げられていく紅型に対し、プリントの方は、パソコンのグラフィック機能を使うなどして機械的な作業で作られていくのが通常の方法です。
しかし、手で作られたぬくもりを大切にしたいというのが石井さんの強い想いです。
そこで石井さんが導入している方法は、シルクの生地に手で描かれたオリジナルの柄の作品を仕上げてから、それをデータ化してプリントするというものです。
この方法によって、染めたような手書き感、手作業のムラ感が、プリントであってもシルクのスカーフの上に再現されるのです。
しかも、紅型の技法で、顔料を乗せ続けると、顔料が重なった部分はそこだけ布が固くなってしまいます。
ハリ感は残しつつも、特有のしっとりした質感は、プリントだからこそ得られる手触りなのです。
「シルクは生き物と同じです。」と石井さんはおっしゃいます。
使えば使うほど空気に触れ、その人の皮膚呼吸を記憶するかのように、持ち主の方にピッタリのスカーフに変化するのだそうです。
そのため、同じデザインのスカーフでも、1年後に同じスカーフを持っている他の方のものと比べると全然違うものに変わっていることを実感されるようです。
「最初に触った時はパリッとしているけど、使うほど馴染んで柔らかくなるので、どうぞ、『絹を育てて』ください。」
これが石井さんからのメッセージです。
最後に、イベントのお知らせです。
11月1日から表参道ヒルズで、石井さんが参加される展示会が行われます。
■日時:2018年11月1日(木)?5日(月) 12:00?19:00
※最終日5日は17:00まで
■場所:表参道ヒルズ Gallery KOWA
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4丁目12番10号 西館1F
メインエントランスから原宿駅側に5店舗目
石井さんを含め5人の作家さん達による 木工、着物リメイクドレス、漆器などが展示されます。
イベントのタイトルは敢えて決めていなかったそうですが、作家の皆さんそれぞれが自分のテーマを一文字の『書』で表したところ、この5つの文字が一つのテーマになっていたそうです。
石井さんが選んだ文字はどんな一文字でしょう?
ぜひ動画でご確認くださいませ。
● スカーフを実際に試着したい方は必見!!
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