● 2018年10月14日放送
進和学園では『いのちの森づくりプロジェクト』という、とても価値の高い取り組みをなさっています。
番組内で折に触れご紹介してきましたが、新たな動きがあったということでお話をうかがってきました。
進和学園は、知的障害をお持ちの方々のための施設を中心に様々な活動を神奈川県で行っている社会福祉法人で、今年60年目を迎えます。
活動は、本当に多岐に渡っており、自動車部品の組立から、どんぐりの苗木の育成、トマトジュースやみかんジュース、パンやドーナツクッキーなどの製造販売……
そのどれもが、一般の会社を凌ぐほどのクオリティであり、トマトジュースは、楽天ショップで、トマトジュース部門で1位に輝くほどです。
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中でも、特筆に値する『いのちの森づくりプロジェクト』は、世界各国で4000万本を超える植樹の指導をなさってきた、横浜大学名誉教授の宮脇昭先生のご指導の下、どんぐりから苗木を育て、育った苗木を出荷し、本物の森を作るために活かしてもらおうという取り組みです。
今回は、進和学園の窓口会社である株式会社研進の林田さんにお話をうかがいました。
林田さんは、前職の大手企業にお勤めの際、海外勤務のご経歴があるなど、豊富な知識と経験をお持ちです。
そんな林田さんは、仲間内では『蝶好き』ということで有名で、子どものころから、蝶を追いかけ、標本を作成し続けてきました。
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そんな、林田さんがいらしたことで、苗木の育成ということから、新たな取り組みが誕生したのです。
それは、『蝶を育てる』というプロジェクトです。
どんぐりの苗木を育てていると、苗木に蝶が卵を産み付けることがよくあるそうです。
当然のことながら、卵は孵り、幼虫が生まれます。
通常、幼虫は駆除されることになってしまいますが、ここで、素敵なアイデアがひらめいたのです。
蝶好きで、子ども好きの林田さんが、子どもたちのための先生となり、蝶のことを教える教室を行っていたことからひらめいたアイデア。
それは、子どもたちに、この幼虫を育ててもらおうというものです。
そして、この企画は、それだけでは終わりません。
イモ虫のごはんの調達方法がとても素敵なのです。
幼虫たちの大好物は、柑橘系の葉っぱです。
みかん・レモン・ゆずなどをお庭で育てているご家庭は意外と多く、特にご年配の方々のお宅が多いので、林田さんたちは、こうしたお宅にお願いして、家が近いどうしのご年配と子どもたちをマッチングしたのです。
こうして、幼虫のご飯をもらうため、子どもたちが地域でご年配の方々のお宅を訪問し、葉っぱを分けてもらうという行動が起こりました。
子どもたちが「葉っぱを下さい」と訪れることで、おじいちゃん、おばあちゃんは、とても喜ばれます。
苗木づくりから、このようにとても良い連鎖反応が起ったのです。
ところで、子どもたちのお母さんは、イモ虫に、どういう反応をなさっているのでしょうか?
一般的に、虫、とくに幼虫のような形の生き物が苦手な女性は多いものです。
実は、最初はちょっと怖がっていたお母さんたちは確かにいらっしゃったそうですが、最後は、「育ててみると、幼虫も可愛い」と、子どもたちよりお母さん方が夢中になったそうです。
残念ながら、上手くサナギから蝶になる前に死んでしまったケースもあったそうですが、目の前で、生命が誕生したり死んでいったり……、現代社会ではなかなか体験できない、大切な命に関する教育となっています。
お子さんやお母さんから「ありがとう」のお手紙をいただくこともよくあることだそうです。
担当した林田さんにとっても、これはうれしくやりがいがあることです。
また、今回は、林田さんが採集した蝶の標本を見せていただきましたが、中学生のころから、かつて海外勤務でマレーシアに6年間住んでいた時……、そして現在まで、たくさんの蝶を標本になさっています。
林田さんが作った蝶の標本は、本当に宝石箱のようです。
湘南のご自宅近くでは、平地では見れない蝶もいます。
きちっとメンテナンスすれば、標本は50年でも60年でも作った当時と変わらず色褪せずにいるそうです。
蝶の持つ鱗粉は、自然の恵みの特別な素材なのでしょう。
こうして、『いのちの森づくりプロジェクト』は、どんぐりを育て、蝶を育て、その過程で子どもたちとお年寄りとの交流を育み、広がっています。
毎年の活動を楽しみにしている子どもたちの中から、第二の林田さんが誕生する日も遠くないでしょう。
詳しくは動画をご覧くださいませ。
● 進和学園が取り組んでいる
『いのちの森づくりプロジェクト』
活動内容や取り組みがわかるページです。