● 2018年7月15日放送
瀬戸内海で2番目に大きな島、『小豆島』
この小豆島を拠点に、妖怪の絵を描いている妖怪画家の柳生忠平さんに、先日、谷中で行われた個展のお話を中心に様々なお話をうかがいました。
東京の下町情緒あふれる街、谷中にある古民家ギャラリー『空薫(ソラダキ)』にて、『猫又の夢』と題して、個展を開かれた忠平さん。
この個展では、谷中のネコたちをモデルにした新作がたくさん登場し、しっぽが割れた『猫又』として描かれました。
古民家の空気感が、作品の良さをさらに引きだし、懐かしく心地よい時空間を作り出していました。
さて、忠平さんの描く妖怪の絵は、どこかユーモラスで、妖怪なのに、怖いだけではない何かがあります。
そして、なんといっても、忠平さんの絵の描き方自体が、かなりユニークな描き方なのです。
常日頃から妄想する習慣がある忠平さんは、頭の中でストーリーを創り、そのストーリーに基づいて、ストーリーの中の一コマが絵として表現されていくのです。
特に、今回の『猫又の夢』にいたっては、頭の中の妄想を短編小説に仕上げ、そこから絵を書き上げていったという力作なのです。
ひなびた旅館が舞台となる物語の中で、メインのシーンが絵となって私たちの目に飛び込んできます。
それは、エロティックな女性と猫、そして妖怪たちが織り成す摩訶不思議な世界。
ちなみに、女性にまとわりついているタコは、なんと、忠平さん自身を表しているのだそうです。
そして、大きく描かれた白い猫と裸の女性は同一の存在で、そこに遊びに来ている妖怪君たちが描かれているのですが、細かく見ていくと、ほかにも不思議なものがたくさん描かれていて、忠平さんの世界観のユニークさが凝縮されているのです。
解釈を聞いて絵を見るのもよし、聞かずに各自の解釈で見ていくのもよし、どちらのスタイルでも、楽しめます。
さて、日頃の忠平さんですが、小豆島にある、『妖怪美術館メイパム』の館長さんでもあります。
土庄町という町にある4つの古い建物が美術館です。
明治時代の呉服屋の蔵や、元醤油屋の倉庫など、迷路のような土地の中に点在しているので、見て回るだけで、町の歴史や空気感に触れることができ、充実した時間を過ごすことができます。
その中のメインの建物にある、忠平さんが描いた天井いっぱいの妖怪画は、圧巻です。
よみがえり、復活、再生というテーマで作成された、10帖二間いっぱいに描かれた作品のタイトルは『監視者』
薄暗い空間に横になり天井を見ていると、絵が動き、こちらをじっと見ている多くの『目』に、心を見透かされているような気分になってきます。
特別なオーダーを受けない限り、忠平さんご自身、『妖怪の絵』以外を自ら描くことないそうですが、そもそも、忠平さんは、どうして妖怪専門の画家さんになられたのでしょうか?
小さい時から水木しげるさんの作品をはじめ、妖怪が登場する作品を読んで、不思議な世界観に興味を持っていたそうです。
また、面積は小さな小豆島ですが、八十八か所の霊場があり、隠れキリシタンの島でもあり、神仏が身近に感じられる場所です。
そして、忠平さんの実家の裏の小さい神社や、洞窟の中が霊場となっている独特な空間が、子どものころの忠平さんの遊び場。
その中で、たった一人で妖怪を探して遊んでいた幼少期が、今の忠平さんを作り上げていったのでしょう。
「昔から絵は好きで、描いていたら目の前に妖怪が出てきてくれるんじゃないかな?と思って……」と忠平さん。
残念ながら、今のところは出てきてくれていないようですが、妖怪みたいな人たちはたくさん集まってきてくれたとのこと。
実は、妖怪というものは私たちの中や、すぐそばにいるのかもしれません。
特に、小豆島には、山と海と、多くの自然が溢れるほどに身近にあり、神様や仏様にまつわる多くのものが集まった素敵な島。
小さな島の中には、いろんなものが凝縮されているので、忠平さんの目を通すと、多くの妖怪がうごめいているのかもしれません。
ぜひとも、忠平さんの絵と小豆島の素敵な自然に触れてみていただきたいです。
詳しくは動画をご覧くださいませ。
● 柳生忠平さんの魅力がたっぷりのページ
妖怪美術館のページもここからリンク!
● 柳生忠平さん作品と妖怪フィギュアがずらり!
迷路のまち小豆島土庄本町の魅力もたっぷりご紹介。