日頃、テレビや映画で女優さんの演技を目にすることが多いですが、ライブである『舞台』の上のでは、ひときわ輝きが増します。
そんな『舞台』、しかも一人芝居を主に演じている谷ノ上朋美さんにお話をうかがいました。

「私は一人芝居にこだわって活動させてもらっています。一人芝居の作品が3作品ほどあるんですけど、それをいろんなところで公演させてもらっています。」とおっしゃる谷ノ上さん。

お一人で、舞台の上はもちろん、『制作』といわれるスタッフの仕事まで、端から端までこなされているそうです。

「20歳から27歳まで役者をさせてもらって、学校さんのイベントでまわらせてもらってました。その時、おつきをさせてもらって勉強させてもらった女優さんが新屋英子さん。一人芝居をするのをずっとそばで観ていたんです。」と、谷ノ上さん。

その後一時役者を辞めて、他のお仕事に就いていたこともあったそうですが、舞台復帰をする際に、やりたかった一人芝居をやろうということで、ご自身で作り一人芝居を始めたとのこと。

しかし、一人芝居となると、普通の脚本をそのまま流用することが難しいので、一人芝居用に変更し、演出も工夫が必要です。

「一人芝居のきっかけは、自分らしく生きるっていうことの大切さを伝えたいという、それをどう伝えたらいいか?と思った時に、自分らしく伝えるツールが、一人芝居だったのです。「一人芝居やりたかったなぁ。自分がやりたかったことをやらせてあげよう。」と思って始めたんです。それでその思いをお話して「こういうお芝居が作りたいんですけど」と脚本家の方にお話しして、その都度書いていただいている感じです。」と、熱く語る谷ノ上さん。

そうして、出来上がった作品は3作品。
それぞれの概略を教えていただきました。

「一本はマイノリティーをテーマにしたお芝居を一番最初に作りました。それが、整形マニアを虐待しちゃうシングルマザーのお母さんと、LGBT、不妊に悩む女の子と、三人が出てくるお芝居です。それを1本作りまして、その次は看護師さんと共同で、市の方からドメスティックバイオレンスをテーマにお芝居を作って欲しいということで一本、今年、新作で作らせてもらったのが、沖縄をテーマにした作品で、一人七役です。」とのことですが、先の2作品はかなり重いテーマです。
ところが、次の3本目が『沖縄』ということで、こちらを手掛けたことには、特別な想いがありそうです。

「自分らしく生きる。「そのままでいいんだよ」ということを伝えたいという想いで始めました。私のルーツですが、母が沖縄出身で、父が大阪です。おばあちゃんは沖縄戦で家族全員をなくしているんです。一人だけ生き残って捕虜になって生き抜いたっていう人生があって、ふと思った時に「生命ってすごい奇跡みたいな繋がりで私、行きてるんだな」と……。戦争で亡くなった方の名前が記されている場所が沖縄にあって、そこにおばあちゃんとお母さんと三人で行った時に、本当に生きてるだけで私たちは素晴らしいっていうことが、腑に落ちたんです。これをお芝居にしたいと思って、今年、沖縄復帰50周年のたまたまこのタイミングで、しかも私は復帰の年に生まれた人間なんです。1972年生まれです。今年50歳で、このタイミングで作品の発表ができるというかたちで作りました。」と、大切な想いをお話してくださいました。

まるで、突き動かされているように、生み出された作品だと思えます。

「これも偶然なんです。「たまたま今年やろう」ということになったんです。去年やるつもりが、他の方の都合で「来年やろう」っていうことになって「来年は復帰の年だ」ということで、今年になったんです。それもちゃんと調整されたのだと思います。本当に計算して無かったので、目に見えない力が「そこにしなさいと言われたのかな」と……。」と谷ノ上さん。
まさに見事に調整されています。

この作品には、『沖縄』の繋がりが多いようで、谷ノ上さんも「沖縄のご先祖様たちが応援してくれていると思います。いろんな人に言われます。本当にすばらしいご縁を沢山いただいておりまして、それも偶然ばかりなので……。ほぼ毎年沖縄にずっと通わせていただいたんですけど、それを感じます。自然の力、ご先祖様の力。沖縄はそのものを受け入れて自然に祈る、ご先祖様に祈る、後はゆだねるっていうのを、とっても沖縄は大事にしているので……。」と感じておられます。

この沖縄を描いた作品、『ゆんたくしましょうね』が来年の2023年1月15日に上演されますので、少しご紹介いただきました。

「実際のおばあちゃんの話、私の話をそのまま舞台にしました。おばあちゃんのことを調べていくうちに、私が色んなことを知っていくということを表現した作品。その中で戦争時代のことをタイムトリップじゃないですけど主人公が体験して、今生きてる私たちが、どう生きるのかということを考える作品です。私のそのまんまを表現しているので、ぜひたくさんの方に見ていただいて、何かを感じていただけたら、とてもうれしいなと思います。」と、おっしゃる谷ノ上さん。

沖縄は、第二次世界大戦で、日本国内で唯一地上戦が行われた場所であり、戦後も、長い間アメリカ軍の政下にあり、自由に行き来できない状態に置かれた特殊な土地です。
日本でありながら、文化も伝統も、独自な発展があり、一言では語ることができない奥の深さがあります。

こうした背景がある『沖縄』を舞台にして、谷ノ上さんの『想い』が重なって誕生した『ゆんたくしましょうね』は、必見です。

詳しくは動画をご覧くださいませ。

また、動画の中では、1月15日の会場を、成城学園前の『サローネフォンタナ』とお伝えしていますが、たくさんの方にご覧いただけるようにと、日程と会場が変更となりました。
下記をご覧くださいませ。

【琉球と大和の架け橋に】
第一部 谷ノ上朋美ひとり芝居『ゆんたくしましょうね』
第二部 琉球王朝末裔 高江州禮子が語る『沖縄の祈り-写真集Umui出版秘話-』
トーク終了後に、三線&ジャンベミニライブあり

●日時 : 2023年1月14(土)14時/18時開演
     15日(日)14時開演 ※受付は開演の30分前
●会場  : 東京インターハイスクール
●申込: 『谷ノ上朋美ひとり芝居「ゆんたくしましょうね」in東京』
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●料金 : 一般4000円 18歳以下2000円 
 ※6歳以下の参加はご相談ください。

谷ノ上朋美オフィシャルサイト